Short story2

□大馬鹿者を心配するは、
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そう、コイツはいつもそうだ。


弱いくせに、平気なカオしてアタシを庇ったり。





『大丈夫だったか、フォー』

『バカヤロ…なんて無茶すんだ…』

『はは、確かにそうだな』



よっ、なんて親父くさい事を呟いて、ごろりと仰向けに体制を直す。その瞬間、一瞬だけ痛そうに顔を歪めたのをアタシは見逃さなかった。





『…バカバク』

『お前な、護ってもらった相手に対して馬鹿はないだろ』

『馬鹿だよお前。大馬鹿だ』

『……フォー、』





何が大丈夫か?だよ。だってそうだろ?人間っていうのはアタシより脆くて儚いもんなんだから。だからこそ人間は強いんだって事も知ってる。だけど、だけど




『アタシはお前よりは頑丈なんだぜ。さっきの攻撃だって当たっても大怪我にはならなかったのに、』

『…知ってる』

『それを大怪我してまで、お前が』

『ああ』

『だから馬鹿だっていうんだ。バカバク』

『そうだな、確かに。だがしかたないだろう?』





身体が勝手に動いたんだから。そう言ってそいつは、これまでにないぐらい柔らかく微笑んだ。人間って奴は理屈じゃないんだ。
全く、予想外の動きをしてくれる。まあだからこそ面白いんだが。





『フォー』

『…るさい』

『…泣くな。庇った意味がなくなるだろう』

『うるせーっつってんだ!わかってら!』





わかってる。わかってるのに中々それは止まらない。何回拭ってもダメダメだ。ああ、遂にどっか壊れたな。泣き顔なんか見せたくないというのに。






(ああもう情けないったらない!)





全くせっかく庇ってやったというのに。なんで僕より痛そうな顔して泣いてるんだ。




そう言ったバクの表情はさっきと同じで温かい。きっとアタシがなんで怒ってるのか、泣いてるのかわかってる。だからもう少し甘えて怒鳴ってみた。




ホラ、痛いぐらいに優しい手が頭を滑る。バカバク、逆効果だよ。ボロボロ嘘みたいに流れる涙。






ごめん、ごめんなさい。
でも絶対許してやらないんだ。





本当は嬉しかったのに全然素直じゃないし、感謝してるのに上手く言えない。



否、確かに口下手なのはあるけれど、もし言えたとしても言ってやらない。






(だって恐かったんだ。だから許せなかった)






自分のせいでコイツを失うのが恐かった。
そして何よりコイツに置いて逝かれるのが恐かったから。





『もう少し自分を大切にしろよバカ』

『はは、本当だな』





(大馬鹿者だ。本当に)






大馬鹿者を心配するは、
(恐らく自分も同じだというのに)





Fin




──────
意地っ張りなフォーと大人なバクちゃん。

×か+か境目が曖昧なので、読者様の判断にお任せします←



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