Short story2

□その月、淡し。
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その人は最後まで美しく、そして気高かった。





『ねえ、マホジャ』




それはそれは月が綺麗な夜だった。主の最も好いた相手を見送ってから、何日が経ったのだろう。遠くよりその人を捜し求めたエクソシスト一行が情報を求めて来た夜。



月明かりに照らされた横顔がなんとも寂しげで、そして神秘的だったのを覚えている。





『ごめんなさい』





ただポツリと。呼び出され眼前に立った私にそう言った。それはとても深い、まるでどこまでも暗い深海のような───





(わかっています、主。貴女はそういう人だと)





謝る必要などない、そう気持ちを込めて貴女の名を呼ふ。緊張の色を含んだ瞳が少しだけ和らいだ。そしてそのまま、ふ、と息をつく。




『私はどこまでも、主と共に在ります』

『──私、男に生まれたら良かったかもしれないわ』

『何故です?』

『だってマホジャ、私が男なら確実に貴方に惚れてたわよ?』

『またご冗談を。──主は一途だ。私が1番よく知っている』

『ふふ、さすが私の部下』





クスクス、また主は悲しそうに微笑んだ。わかっていますよ、主。





本当は部下を誰も巻き込みたくなくて、1人で行こうとしていた事も。だけど私は、部下はそれを決してきかないという事も





だからこそ詫びているのでしょう?もう二度と会えなくなるかもしれない航海に部下を連れていくのを、止めない事を。巻き込んでしまう事を





(私の、我々の我が儘を許してくれて有難う)
(やはり貴女は素晴らしい人だった)






部下想いで、一途な
優しく気高い我が主よ







『ごめんなさい、マホジャ』






(どうか最後まで、傍に)





私は片時も貴女から離れず、護り抜きましょう






その月、淡し。
(汚れもなく揺らめいて、)




『ありがとう』







Fin





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アンケートに投票されていたコンビ、アニタ+マホジャ。

 

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