Short story2

□今夜は手巻きずし
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(新誕)



「なー、なんか食いたいモンとかある?」



ある夏の暑い日。
気怠そうに鼻をほじりつつ、愛読書であるジャンプに目を向けながらポツリとそう言ったマダオ上司。


洗濯物を畳ながら(神楽ちゃんも手伝ってくれている)、唐突に声をかけて来た銀時に目を向けた。



(…ん?)



空耳?
食べたいもの?
もしかして僕に向かって言った言葉なんだろうか。だとしたら何なんだ、いきなり。



「え。何ですか?僕に話してるんですか?」

「そうだよ。別名ブラックホールのガキにんなこと言ってみろ、1日で坂田家は破産だ」

「よく本人の前でそんなこと言えるアルな。その天パむしられたいのかマダオ」

「んな訳ねェだろ…ってあだだだだ!!頭皮が切れる頭皮が!」

「今のは銀さんが悪い」



二人の取っ組み合いを横目に、ため息を一つ。で?と話を再開してみる。



「なんでいきなり僕に食べたいもの聞くんですか?」

「‥今日の献立考えんの面倒くせェんだよ。お前なら地味で低価格なモン言うだろ、眼鏡だし」

「眼鏡カンケーねェだろ!つか献立とか考えられるほど冷蔵庫に入ってねェよ!」

「そこら辺は問題ない。銀ちゃん昨日飲みに行くの我慢してたネ。そのお金で買いに行けば良いヨ」

「へっ?」

「ばっ…テメっ、何言ってやがる!」



ぐわしっ。
喋る少女の頬を鷲掴みにする銀時。焦ったような声色に、キョトンとしたのは新八だ。昨日は夕飯を作ってから家で用事が出来た為、すぐに帰ったから知らなかったのだ。飲みに行くのを、我慢してただなんて。


(……って、なんで?)



「どっか具合悪いんですか?」

「違いますぅ〜昨日は気分じゃなかったんですぅー」


その物言い。
明らかに、怪しい。
その様子に痺れを切らしたように、神楽が舌打ちをした。



「……新八ィ、ド忘れしてるアルか」

「へっ、何を?」

「全く、これだから新八はいつまで経っても新一になれねェんだヨ」

「や、別に新一にはなりたくないけど」



ビシッ!
神楽が指をさした先にはカレンダー。そういえばカレンダーなんて見ちゃいなかった。よくよく見れば今日の日付には、赤い丸が付いていた。



(……あ、)



今日は8/12。
今日は、今日は………




「……銀さん」

「…んだ?」

「僕、今日寿司で良いですよ」

「んな高いモン無理に決まってんだろ、クソガキ。……せめて手巻きずし的な何かにしなさい」

「手巻きずしアルか!?キャッホゥゥ!!」

「うん。じゃ、買い物に行きましょうか」

「…ちっ」





(何だかんだ幸せだなあ、今日も)


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今夜は手巻きずしパーティー^^*
子供達に対する愛情表現が不器用で意地っ張りな坂田愛しい←

坂田家のオカン・新八、誕生日おめでとう!!

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