探偵殿はお仕事中!!

□FILE,NO.1
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…―ローウェン国
華南街(カナンストリート)

明け方5時。



「犯人の計画は完璧でした。しかし部屋に戻ったご主人に見つかってしまった」

広い部屋に集められたこの家の関係者と警察は共に一人の少女の話しを聞いていた。
いや、少女と言うにはそこまで幼くはないだろう。年は16かそこら。普通なら高校に行ってるくらいの年齢だ。

「そしてこの家の家宝、ローズクォーツで造られた秋桜(コスモス)のブローチを盗った犯人はこの中にいます」


少女の言葉に集められた人々は驚きを隠せなかった。


事件は数時間前の事。上流貴族ブルリンス家の屋敷に泥棒が入った。犯人の目的はこの家に代々受け継がれているという秋桜のブローチ。犯人に気付いたこの家の主人を鈍器のようなもので気絶させブローチを手に入れた。
 
警察は窓ガラスが割れている事から外部犯との見方を進めてたが……。

「ま、待ってくれ深咲(ミサキ)君。君はそう言うだろうがこの家の関係者のアリバイは全員成立しているんだ!勝手な事を言わないでくれ!!」

地方警察の真形警部は声を荒げて深咲に怒鳴った。

元々地位が低い地方警察は上流貴族の機嫌を損ねるとすぐに首が飛ぶ。いくら警察とは無関係の深咲でも上流貴族を犯罪者呼ばわりして誤っていたらとばっちりを受けてしまうかもしれないのだ。


しかし真形警部の怒鳴り声も怯まず深咲はブルリンス家の家族を真直ぐ見据えた。そしてこの事件の主役となる人物に指を向ける。


「…犯人は……」

 
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