死帳物語

□甘奉行
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「なあ…竜崎」

「何ですか月君」


「お前よくもまあ毎日甘い物ばかり食べられるよな」



今更だけど、思わずにいられなかった。




「…そうでしょうか?」
「そうだよ」
「私としてはまだまだ食べ足りない位…」
「うげ、止めてくれ」
コイツは甘党なんていうレベルじゃない。

「…甘奉行?」
「何者ですか、それは」
何者と言われても。
「甘い物を知り尽くしているというか…語るというか」
竜崎は真っ黒な瞳を見開いて顔を近付けてきた。
…何でいちいち顔を近付けるんだか。
「そこまで酷くないです」
「へえ…じゃあ竜崎、お前にとって『甘い物』とは?」
本当かよ、と僕は思い、試しにそんな質問をしてみた。
しかしこの質問は間違っていた。

「私にとって、『甘い物』とは……?」

何というか、竜崎のオーラが変わった。

「私の半身です、…いいえ全てです!
甘い物は第二次世界大戦をも終わらせてしまう、リトル・ボーイを超越した最終兵器です!」
食べ物超えて兵器とか言っちゃってるよこの人。
「やっぱり奉行だな…」
「違います。私は純粋に甘い物が好きなんです!」
「だから甘奉行と言ったんだよ…」
原爆より凄いってどんなだ。




 

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