□珈琲で駆け引き
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自分が情けなさすぎて、本当に泣きたくなった。

好きな人には、男ならやっぱりリード位したいと思う。
なのに、その好きな人は、リードするなんてとんでもないような凄い人で。

最強の殺し屋、リボーン。
黒の死神。
その名に相応しい風格と実力を持つ、俺にとっては可愛い筈の人。

「スカル、珈琲淹れろ。エスプレッソでな」
「あの、ちなみに拒否権の方は…?」
「 な い 」

だろうとは思ったけど。
これではどっちが攻めか分かりゃしない。
「あ、じゃあセックスさせてくれる代わりに珈琲用意しますよ」
少しはリードしたくてそんな事を言ってみる。
…しかし。
「一回死んでみるか?…ああ、お前が突っ込まれる方なら相手してやってもいーぞ」
「…どっちも遠慮します」
やっぱり無理か…。
俺がうなだれていると、先輩はニヤリと笑ってみせた。

「…ま、美味い珈琲を淹れれたら相手してやっていーぞ…お前がタチで」

「!!!!!!」


本当にこの人は。

俺を落ち込ませるのも上手いけど、俺を喜ばせるのも一番上手いんだ。



この後結局頑張って淹れた珈琲は駄目だしされ、俺はお預けを食らうはめになった。




それでもやっぱり先輩が好きで仕方がない俺は、どうしようもない奴だ。





end

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