虹
□珈琲で駆け引き
1ページ/2ページ
自分が情けなさすぎて、本当に泣きたくなった。
好きな人には、男ならやっぱりリード位したいと思う。
なのに、その好きな人は、リードするなんてとんでもないような凄い人で。
最強の殺し屋、リボーン。
黒の死神。
その名に相応しい風格と実力を持つ、俺にとっては可愛い筈の人。
「スカル、珈琲淹れろ。エスプレッソでな」
「あの、ちなみに拒否権の方は…?」
「 な い 」
だろうとは思ったけど。
これではどっちが攻めか分かりゃしない。
「あ、じゃあセックスさせてくれる代わりに珈琲用意しますよ」
少しはリードしたくてそんな事を言ってみる。
…しかし。
「一回死んでみるか?…ああ、お前が突っ込まれる方なら相手してやってもいーぞ」
「…どっちも遠慮します」
やっぱり無理か…。
俺がうなだれていると、先輩はニヤリと笑ってみせた。
「…ま、美味い珈琲を淹れれたら相手してやっていーぞ…お前がタチで」
「!!!!!!」
本当にこの人は。
俺を落ち込ませるのも上手いけど、俺を喜ばせるのも一番上手いんだ。
この後結局頑張って淹れた珈琲は駄目だしされ、俺はお預けを食らうはめになった。
それでもやっぱり先輩が好きで仕方がない俺は、どうしようもない奴だ。
end
→後書き