□願えば願う程に
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お願いだから、僕から離れないで、遠くへ行かないで。



無機質な機械音の響く真っ白な、さながら病室の様な部屋で骸は溜め息をつく。
窓は無く、テレビを観る事はおろか雑誌や新聞などの情報源も一切許されていない骸には外の天気さえ分からない。
辛うじて分かるのは、今日が何日なのか、そして何時なのか、位だ。
唯一部屋に備えられたデジタル時計だけが骸にとっては頼りだった。
レオナルド・リッピという名でミルフィオーレに潜入した当初、予定ではボンゴレに此処の情報を流したら後は逃げるつもりでいた。
まさか、ミルフィオーレの技術がこんなにも発達しているとは───物理的なものだけでなく不可視のものまでをも弾くバリアを作り出す事ができようとは思いもよらなかった。
完全に骸の計算ミスだ───最低自分の能力が使えなくなる状況は考えていなかった。
白蘭はそれさえも見越していたのだろう、食えない男だ。
噂をすれば、だ。
唯一部屋に備え付けられた強固な扉が自動ドアの様に、滑らかに開く。
骸にはけして開く事のできない不可侵の扉だ。
そこから現れたのはやはり白蘭。
何が愉しいのやら必ず笑顔で現れるのだ。




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