銀魂物語

□雨が上がれば
1ページ/5ページ


ジャンプを買って帰る途中、凄まじい雨に見舞われた。
「これじゃ帰れねぇな…」
銀時は仕方なく、近くにあった木で雨宿りする事にした。
そこで雨が止むのを待っていると、バシャバシャとこちらに向かって走ってくる音が聞こえた。
雨宿り目的だろう。
「失礼、入らせてもらうぞ」
「ああ」
「かたじけない…ん?銀時ではないか」
自分の名を呼ばれ、銀時は後からやってきた人物に顔を向けた。
「あ、ヅラだったのか」
「ヅラじゃない、桂だ!」
とりあえず、いつものやり取りを済ましておく。
「お前も難儀だったな。この雨はなかなか止みそうにねえぞ」
「そのようだな…困ったものだ、これでは火薬も効かん」
あ、そっちの心配ね。
「よくもまあ飽きず…」
「一回経験するとなかなかに快感だぞ」
「そんな快感知りたくねー…」
軽い会話を交わすと、また沈黙が流れる。
そうなると、辺りは雨の音に包まれる。
「……」
「……」
不思議と、無言の空気は不快ではなかった。
むしろ心地良い。
「…銀時」
沈黙を破ったのは、桂の方だった。
「何だ?」
「こうやって雨を見ていると、総てが洗い流されるような気がしないか?」
激しく降る雨は、総てを…音さえ飲み込む。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ