銀魂物語
□雨が上がれば
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ジャンプを買って帰る途中、凄まじい雨に見舞われた。
「これじゃ帰れねぇな…」
銀時は仕方なく、近くにあった木で雨宿りする事にした。
そこで雨が止むのを待っていると、バシャバシャとこちらに向かって走ってくる音が聞こえた。
雨宿り目的だろう。
「失礼、入らせてもらうぞ」
「ああ」
「かたじけない…ん?銀時ではないか」
自分の名を呼ばれ、銀時は後からやってきた人物に顔を向けた。
「あ、ヅラだったのか」
「ヅラじゃない、桂だ!」
とりあえず、いつものやり取りを済ましておく。
「お前も難儀だったな。この雨はなかなか止みそうにねえぞ」
「そのようだな…困ったものだ、これでは火薬も効かん」
あ、そっちの心配ね。
「よくもまあ飽きず…」
「一回経験するとなかなかに快感だぞ」
「そんな快感知りたくねー…」
軽い会話を交わすと、また沈黙が流れる。
そうなると、辺りは雨の音に包まれる。
「……」
「……」
不思議と、無言の空気は不快ではなかった。
むしろ心地良い。
「…銀時」
沈黙を破ったのは、桂の方だった。
「何だ?」
「こうやって雨を見ていると、総てが洗い流されるような気がしないか?」
激しく降る雨は、総てを…音さえ飲み込む。