銀魂物語

□壊れたのは誰
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本当に悲しい時は、涙さえ出ないんだ。





仲間が死んだ。
沢山、死んだ。


守れなかった。
救えなかった。


手から滑り落ちていくかの様に、命が消えていった。
砂の様に、いとも簡単に。



白夜叉なんてよく言ったもんだ。



「俺に一体何が出来た?」
「俺が闘い何が変わった?」
「俺は本当は何がしたかった?」



それさえも最早分からない。




残ったのは




とてつもない喪失感。
胸に迫り来る罪悪感。
空虚な悲しみと恐怖。




ぽっかりと心に空いた穴。

穴が開いては、涙が零せない。

涙を受け止める事が出来ない。

悲しみを、流す事が出来ない。





何の為に生きている?





分からない。
見えない。






俺は逃げたんだ。
全てから。










「嘆け、銀時……」



悲しみに捕らわれてしまえ。

ゆっくりと侵食される様に、狂ってしまえ。



「壊れたお前を、永遠に俺の側に置いてやるよ…」





俺の生き方にいちいち文句をつけるお前。



鬱陶しい。
だけど、側に置いておきたい。




だから壊してしまおう。




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