空
□伝えたい想いを、今
1ページ/2ページ
あんな消え方すんじゃねえよカス。
鮫が鮫に喰われるなんてよ、情けねえにも程があるだろうが。
そんな言葉が言いたい訳じゃねえ。
別にテメェを嘲笑いたい訳でもねえ。
ただ、愛してる、と。
その言葉を伝えたかった。
確かに過去を清算したかったかもしれねえ。
だがそれは、壊れそうな位にテメェが好きだった事実をだ。
消えない、ずっと俺の中に残ってる記憶の欠片たち。
消えないなら、どうしてテメェは俺の前から消えてしまったんだ。
苦しいんだよ。
包帯でぐるぐる巻きながらも、俺の前に現れたテメェ。
生きてたのか。
嬉しさと、情けねえところを見られた不甲斐なさ。
俺ぁずっとテメェの前では絶対者で居たかったんだ。
何で今なんだ。
ざけんなよ。
「負けたなぁ…」
「…ああ」
「たかがガキ共に」
「…ああ。正直んなのどうでもいいんだよ」
「…?」
「カス……、…スクアーロ」
「…う゛ぉ゙おい、どうしたんだ一体」
「黙って聞け。……」
喩え格好悪ィところを見られてもやはりテメェが生きていて嬉しいのは、
テメェが好きだから、
テメェに伝えたい想いを言えるから。
「…愛してる」
ああ。
やっと、言えた。
end
→後書き