□優しくしないで
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自分の体の事だ、それ位は分かる──間違いなく、気を失うか倒れるかするだろう。
今日はゆっくり過ごせるかもしれない…そう思い骸は安堵するが、カタン、と何かの動く音がし、自然と体が強張る。
まさか白蘭だろうか?と途端に言い知れぬ不安。
別に彼が恐ろしいという訳でもないのだが、骸の中では白蘭=SEXという定義が完全に結び付いており、体が弱っている今、思わず体が竦んでしまうのだ。
恐る恐る音のした方へ視線を向けると、そこには誰の姿も見当たらなかった。

「…?」

それを訝しく思い、骸はベッドから立ち上がり先程音のした方へと歩み寄る。
音の出所はどうやら部屋の隅に小さく造られた小窓な様で、確か記憶では閉まっていた様な気がしたがいつの間にやら開いていて、そこから爽やかな風が入り込みカーテンをいたずらにたなびかせていた。
視線を下にずらすと、小さな小さな一輪の花が儚げに落ちていた。
はぐれてしまったみたいな、どこか淋しげに見える花を骸は何となしに拾う。

「小鳥が落としていったんでしょうか…?」




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