二人の軌跡
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「離したくない…はなれないで…エステル」
普段すましていて、大人で、冷静なあの彼が、いつになく甘えていた。
ベッドから立ち上がろうとした腰に腕をまわし、ストン、と下ろさせる。
「…なんなのよ…いきなり…」
少し、呆れたように。
しかしその右手は、愛しい愛しい彼の頭の上。
そして、彼を抱きしめかえそうと思った
矢先。
耳元で囁かれた、甘く蕩けてしまいそうな言葉に、力が抜けた。
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