彼女の幸せ

□悲しみの後の幸せ
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病院に搬送された茉莉が意識を取り戻したのは、その夜…ツナとリボーンはまだ付き添っており、武が飲み物を買いに行っている時のことだった。

茉莉は目を覚ますなり、小さな体を震えさせた。再び過呼吸を起こしそうなその様子に、リボーンが眉を寄せる。

「やべえな」

痙攣も勿論過呼吸も、かなりの体力を消耗する。未だ回復途中の茉莉の身体に良くないことは明白だった。
茉莉はベッドの上、胸を抑えて硬く目を閉じ、必死に呼吸を繰り返す。
このままではまた呼吸障害を起こすだろう。

リボーンが対処するために紙袋を探し始めたその時、ツナがベッドに歩み寄ってそっと茉莉の頭に触れる。

「…ッ!」
「大丈夫。茉莉はここにいていいんだ。俺たちの側にいてほしい」

ツナがそう穏やかに声を掛けて優しく抱きしめた直後、茉莉は声を上げて泣き始めた。

自分の存在を拒絶されたことが恐ろしかったと、彼女は泣きながらか細い声で訴えた。
何よりも「いらない」と「死ね」が心に突き刺さったのだと。
ツナは相槌を打ちながらも茉莉の背中を撫で、彼女が泣き疲れて眠ってしまうまでずっとそうしていた。

眠ってしまった茉莉をベッドに寝かせたところで、武が帰ってきたので聞いた話を伝えれば、彼は初めて見る険しい顔をしていた。

「山本…この事、俺に任せてくれる?」
「…ツナ?」

ツナは幾分かすっきりした顔で眠る茉莉を眺めたまま、言葉を紡いだ。

「俺も、茉莉をここまで追い込んだこと、許せないって思うから」
「……」
「それに山本は茉莉の側についてなきゃいけないだろ?目が覚めた時、山本がいなきゃ茉莉寂しいと思う」
「…そうだな。ならツナ、頼んだぜ!」
「うん。行くぞリボーン」
「ダメツナ。どこ行くつもりだ」
「一旦帰る。こういう問題なら雲雀さんに手を借りた方がいいだろうけど、夜だし」
明日朝一で連絡する、と言うツナに、リボーンはニヒルな笑みを浮かべた。

「おまえにしちゃ考えたな。でもヒバリは茉莉を気に入ってるかんな、加害者をボッコボコにしちまうぞ」
「大丈夫。雲雀さんは茉莉が悲しむことはしないから」
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