彼女の幸せ

□新たな出会い
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結局、説明は省いてしまった。

茉莉の目がパチパチと瞬きを繰り返す。

「ツナくんの?」
「ああ。茉莉がファミリーになれば、ツナは強くなる」
「…でもツナくん、強いです」
「もっと強くなる。あいつの実力はあんなもんじゃねーかんな」

ニヤリと笑うリボーンはとても赤ん坊には見えない。
しかし茉莉は外見を見てはいないようだった。
何故なら彼女は最初からリボーンを一人の男として対峙していたのだから。
まさか天然な彼女であろうと、赤ん坊が喋ったり危なげなく二足歩行したり、ましてやダークスーツにボルサリーノなんて身につけるとは思うまい。
何よりの証拠は、緑茶だ。
赤ん坊は茶碗に注がれた緑茶など飲めない。
それに、茉莉はずっとリボーンに敬語を使っていた。

しばらくしてリボーンは茉莉を見つめたまま、スイと目を細めた。

「茉莉の目には、俺はどう見える?」
「?意味がわからないです…」
「幾つに見える?」

すると茉莉は僅かに逡循したようだが、やがておずおずと口を開いた。

「一歳…?でもなんだか年上のお兄さんとお話しているみたいです…」

やはり、とリボーンは溜息をついた。
茉莉は直感的にリボーンの正体を察している。ただし、本人もそのことに気付いていないが。

「あの…リボーン、さん」
「どうした?」
「茉莉でも、ツナくんのお手伝いができますか?」

怯え気味ではあったが、それでも茉莉はそう尋ねた。
眼差しは真っ直ぐ、曇りは皆無。
リボーンはそれを見て笑みを浮かべた。

「ああ。おまえにしかできないこともあるぞ」
「茉莉にしか…」

小さく呟くと、茉莉は三指ついて上座のリボーンに頭を下げた。

「よろしく、お願いします」










未だ未熟な少女は、自ら道を選ぶ

それがどんな道かは知らないだろう

それでも如何に厳しい荊の道とて
彼女はその道を取った


全ては己の大切な友のため





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