彼女の幸せ

□意外な彼の意外なところ
2ページ/2ページ



奈々とオヤツにパウンドケーキを焼いた茉莉を、リボーンがツナの部屋に行くぞと促して階段を上る。
ツナの部屋に着くと、そこにはツナと武の他に隼人もいた。

「こんにちは」

ふわりと微笑む茉莉に、ツナと隼人が思わず顔を緩める。

「こんにちは、茉莉」
「よう」

座りなよ、とツナに言われて腰を下ろしたのはもちろん武の隣。
ぴったりくっついて座る。

「下でなにしてたの?」

微笑ましくそれを見ていたツナが尋ねると、茉莉は恥ずかしそうに頬を染めて小さな声で答える。

「ママンとおやつ…作ってたの」
「へえ。今日はなに?」
「パウンドケーキ…」

楽しみだね、と笑うツナ。
他の三人が会話に割って入らないのは、茉莉がパニックにならないため。
未だ多人数での会話に慣れない茉莉のため、少しずつ慣れさせているのだ。

「今日は煮物を持ってきたんだぞ」
「なんでリボーンが知ってるんだよ」
「茉莉は煮物も上手いな」
「(コイツ…茉莉の煮物食べたな)」

密かに睨み合う二人をよそに、茉莉は隼人をじっと見上げる。

「どうした?茉莉」
「隼人くん…甘いもの、苦手?」

困った顔で首を傾げる茉莉を見て、隼人は笑ってそのあたまをぐりぐりと撫でた。

「茉莉の菓子は甘すぎないから大丈夫だ」
「…よかった」

安堵の息を洩らした茉莉に癒される一同。

「茉莉。この間怪我した背中と足首はもう大丈夫?」

ランボを助けた時の怪我の様子を問われ、茉莉は小さく頷いた。

「うん。…シャマルお兄さんが毎日、診てくれたから…」
「診察中は俺が見張ってたから心配ないぞ」

すぐさま告げるリボーンに、三人の頭の中にはその様子がまざまざと思い浮かぶ。
しかし。

「シャマルお兄さん、とっても優しいの」
「え」
「は?」
「マジかよ」

茉莉の一言でその想像はあっさり消えた。

優しい。

変態じゃなく?

「おいリボーン…」
「…あいつ、茉莉には口説きもしないでマジで優しかったぞ」

気味悪いぐれーにな、と言うリボーンに何も言えない三人。
茉莉はその空気に気付かず、「シャマルお兄さんにするお礼は何がいいかな」と考えている。






女好きと言われる彼も

茉莉の前ではただの人



兄と呼ばれた時から



彼女は守るべき存在



.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ