及川さん家の妹さん
□ホントうざい
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「ホントにごめんなさい、帰りたいから離してくれないかな?」
「…さない」
「へ?」
「玲奈ちゃんが良いって言ってくれるまで離さないし帰さない」
ガシッと両手首を捕まれ水飲み場に追いやられて逃げ場がなくなる
それにつれて横谷くんの顔がだんだん近くなる
「ちょ、横谷くん…やめっ!」
「玲奈ちゃん…好きだよ…」
あ、キスされるオワタ…さよなら私のファーストキス…
そう思って目を強く瞑ったとき
「はぁーいそこまでだよ」
フワッと何かに包まれる感覚と同時に手首に開放感が生まれる。目を開けるとお兄ちゃんに抱きしめられていた
「何すんだよ!!!!」
「それはこっちのセリフだよ俺の妹に何してんの?嫌がってるの分からなかったの?」
そう言いながらお兄ちゃんは言葉を続けた
「その辺の女の子ならその顔と性格でも全然平気と思うけど、玲奈に告白するなら俺を越えるスペックじゃないと許さないよ」
とりあえずその女々しい性格直しなよ!笑顔でそう言うと横山くんは顔を真っ赤にしてどっかに走って消えた
「玲奈ちゃん…何でこんなとこにいるの?男にトコトコついて行ったらダメだってお兄ちゃん言ったでしょ?」
「あ、あの、これは違うの、です、ハイ」
「んもー!!こんなことがあるから玲奈ちゃんから男遠ざけてたのにー!玲奈ちゃんは可愛いんだから気を付けなきゃ!」
怒られるかと思ってヒヤヒヤしてたらお兄ちゃんの大きな手で頭を撫でられた
「…心配、したんだよ?体育館から玲奈が男に迫られてるの見つけてめっちゃ走ったんだから」
「…とう」
「ん?なに?」
「 あり、がとう 」
「?!玲奈ちゃん今なんて?!?!?!」
「も、もう言わないわよ!!」
「玲奈ちゃんが俺にありがとうって言った!!もー玲奈ちゃん好き!!大好き!!」
「ちょ、抱きつかないでバカ!きーもーいー!!!」
ホントうざい
(でもほんの少し感謝してるよ、なんてね)
普段はちゃん付けで名前を呼ぶけど真剣なときは呼び捨てで妹を呼ぶ及川さん