及川さん家の妹さん
□余所でやってろ
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キュッキュ バシン!
ナイッサー!
一本切ってくべ!
及川さんまだかなぁ〜
捻挫したらしいよね、大丈夫かなぁ〜
ボールの音とバレーシューズの音と試合をやってる男の子たちの掛け声とキャーキャー騒ぐ女の子の声が入り混じる体育館
なんで私はここにいるんだろう
世は大後悔時代!
なーんてそんな冗談はさておき、どうして私がここにいるか誰か説明してよ!!
▲▽▲
「練習試合?」
「そうだよ!烏野ってところと明日の放課後試合するんだー」
「へー」
お風呂上がりの私の髪の毛をドライヤーで乾かしながらお兄ちゃんが言った
なぜ私の髪を乾かしてるのか?
自然乾燥派の私にお兄ちゃんが「女の子はサラツヤじゃなきゃダメでしょ!!玲奈ちゃんの髪が傷むとか耐えられないから俺が乾かす!」と言い始めたからで、もはや毎日の日課になりつつある
まぁ私が乾かすよりお兄ちゃんにやって貰った方が上手だし
あれ?今思ったけどお兄ちゃん捻挫してなかったっけ?
「ねー捻挫してるのに出れるの?」
「え?心配してくれてるの?!」
「え?ちが…」
「んー可愛いなぁ玲奈ちゃんは。ダイジョーブだよ、最後にちょこっと出る程度だからね〜」
そういって頭を撫でてくるお兄ちゃん
お兄ちゃんの大きな手から伝わる体温は嫌いじゃない
お兄ちゃんも普通にしてたら好きなのにな
ホントにつくづく残念な男だ
ドライヤーを掛け終わったのか私の隣に座って私の髪を触るお兄ちゃん
「ねー玲奈ちゃーん」
「…なに」
嫌な予感がする
お兄ちゃんがこんな風にしてくるときは大抵変な頼みごとをするときだ
「明日の試合応援に来てよ!俺、玲奈ちゃんのためにめっちゃ頑張っちゃうよー?」
「最後にちょっとしか出ないくせに?」
「…そ、それでも玲奈ちゃん来たら頑張れるもん!」
「何が嬉しくて放課後にこんな顔見なきゃいけないの?行かないし」
「こんな顔って…!玲奈ちゃん酷い!!!」
翌日、まさか体育館で試合を見るハメになったことを今の私は思ってもいなかっただろう
余所でやってろ
(私が行かなくても頑張りなさいよ!)