シリーズもの
□もし澤村大地がお兄ちゃんだったら
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「胡桃」
「絶対やだ」
「いい加減に…」
「やばってば」
「行きなさい」
「いーやーだー!あー何も聞こえないー」
「…行けって言ってんの聞こえないの」
「いやって言ってんの聞こえな…!い、きます…」
先日、虫歯が出来た
あのキュイーンって歯を削られる音が嫌いで放っておいたらさらに悪化した
それが兄である澤村大地にバレて病院に行く行かないでもめていた所だ
あー行きたくないよー
でもなーお兄ちゃん怒ると恐いしなー
あーでもキュイーンってやだなー
いやーでも痛いしなー
結論:お兄ちゃんが恐いから歯医者来た
歯医者に着くとあの耳障りな音が聞こえる
あぁ、誰かがまた犠牲になっているのねアーメンラーメンタンタン麺
小さな子供が泣いている声も聞こえた
やめてー!今の私にそんな声聞かせないで!!私も泣いちゃうから!!
「澤村さーん、澤村胡桃さーんこちらへどうぞー」
ついに呼ばれた私の名前
頑張れ、頑張るんだ胡桃…これが終われば幸せな毎日が待ってる!
▲▽▲
「あ、胡桃終わったか?」
「え、お兄ちゃん」
治療が終わり、待合室に来るとお兄ちゃんが座っていた
え、何でいるの?
「もうそろそろ終わる頃かなって思って胡桃のこと迎えに来たんだよ」
「あーわざわざありがとう」
「嫌いなこともちゃんと頑張れたな、胡桃」
そう言って頭を撫でてくれたお兄ちゃんは前に怒っていた顔とは正反対の優しい笑顔だった
「ご褒美にシュークリーム買ってやるな!」
「ホントに?やったー!!じゃあコンビニ寄って帰ろう!!」
歯医者の帰り道、2人の後ろには手が繋がってる影が伸びていた
アメとムチを使いこなす
(恐いけど優しいお兄ちゃん)
お父さん的な優しさの大地さん