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□無菌室
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ビニール越しに触れる手と手


私と君は泣きながら「ごめんね」を繰り返す


もう触れられない


手を握ることも


キスをすることも


抱きしめることも


その涙を拭ってあげることも出来ない


今の私にとっては大好きな君でさえも黴菌なんだ




「俺、なんもできないよ・・・」




「ね、智」




私が呼ぶと君が顔を近づける




「どうしたの?」




「最後にお願い」




「最後って・・・」




悲しそうに笑う


ごめんね、私がこんなんになっちゃったから


最後に見るのは君がいい





私のお願いを聞いた君は戸惑った顔をしたけど


いいよ、と言ってビニールの中へ入ってきた


優しく唇に触れる君





「これで、いい?」




「ありがと・・・」



















あとはお迎えを待つだけ











無菌室
(3分後には血を吐き出して逝くから)

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