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□lie
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「折り入って相談が」

「何よ」



急に改まって和也が私の隣りに座る
ソファでくつろぎながら
雑誌を読んでいた私は
一体何なんだ、と怪訝な顔で見る



「今まで俺達は特に大きな喧嘩も無く
平穏無事に歩んで来た」

「うん」

「好きだったよ。あの頃は
だけど今はさ、
その気持ちが薄れてしまった訳」

「…ほう」

「その上、俺は昨日告白された」

「はぁ」

「大野さんに」

「はっ!?」

「やっと気付いたんだ。自分の気持ちに
…今日で俺達、別れないか」



全然わかんない
何が起きてる?
私と和也が別れる?
そんな馬鹿な
大野君から告白?
え。私は男に負けてしまった?



ぐるぐるぐるぐる
頭の中が渦巻く



「や、嫌だよ!
私っ…別れたくなんかない!」


すがりつくも
和也は申し訳なさそうな顔で
私を見るだけ


「いやだっ…こんなに好きなのに…」


涙が流れ落ちて、和也の服を濡らした
和也、と呼ぼうとした瞬間
視界が回り見えるのは
天井と笑顔の和也


「可愛いこと言ってくれちゃって」

「か、ず…」


涙を唇ですくわれる
そのまま耳元に寄せられ
熱い吐息がかかる








「今日はエイプリルフールなんだよ?」










lie
(やられた!!)

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