CLANND×Fate
□幕開け
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「……どこだ、ここ?」
周りには見覚えのない景色、えーと…俺は何をしてたんだっけ…?
「たしか…電車に乗ってたら…」
いきなり電車が急停車、気がついたらココにいる…と
「わけがわからねえ…」
あー、なんつーかアレか?あの時電車が事故ってから放り出されたとかか?
そうなら怪我してねえのはおかしいしなぁ…とにかくここにいても始まらねえし
「…とりあえず地図か駅を探すかぁ…」
歩き出す…が、まもなくして嫌なモノを見てしまい顔をしかめる
「女の子相手に5人がかりかよ…」
横目で見ると暗い裏路地に見えるのは煌めく銀の髪をした女の子の横顔とそれを取り囲む茶色や金、赤などの明らかに染めたとしか思えない髪の不良
「あー…武器は無しかぁ…ま、見過ごせないしなぁ」
何か使えるものはないかとバックをあさり、ないのを確かめると一歩踏み込む、同時に不良逹の怒鳴り声が鮮明に聞こえるようになる
「聞いてんのか!?俺達のダチを停学なんかにしたツケ、どうやって払ってくれんだ?あぁ!?」
「ねーちゃんくらい綺麗ならいくらでも稼げっからよぉ…大人しくしろや!」
うぉおい…なんてわかりやすい単純な動機…つか逆恨みだろソレ
「もしもーし、お兄さん逹〜」
「あぁ!?何だガキ…グホァ!?」
「兄貴ぃ!?テメェエ!」
とりあえずリーダーっぽい奴を振り向かせ、顎に肘を入れ、軽い脳震盪を起こさせ他の奴等に向き直る
「どーも、通りすがりのおせっかいでーす…女の子によってたかっていじめるのは感心しねえなぁ…」
「ガキが!なめてんじゃねぇええ!」
明らかに見下した俺の態度にイラついたのかそこら辺に転がっていた鉄パイプを持ち、殴りかかってくる不良×4…統制がとれてない上に動きが単純なため、後ろに一歩下がり避ける
「クッソ、ちょこまかと…グッ…!」
「ハイ、これで二人〜」
疲れたのか一瞬俺から目を離し、汗を拭く不良の鳩尾を容赦なく手刀で突く。
グラリと崩れ、苦しそうに地面でのたうちまわる不良を向こうに蹴り、言う
「まだ…やるか?」
「ク…クソ、顔は覚えたからな!」
「はいはい〜」
お決まりのような捨て台詞を残して逃げていく不良逹を笑顔で手を振り、見送ると女の子を見る…って、えぇええ!?
「すまない、助かった…だが君は多少武術の心得があるようだが体は鍛えていないだろう…あまり無理をするのは感心しないな」
「あ…ああ、気を付ける」
いきなりこちらの体をジロジロ見た後、諭すように言う少女に硬直しながら答える
何でかって…?何故なら目の前にいる少女は俺が池袋のアニ○イトで予約したゲームのヒロイン…坂上智代だったからだ
「ああ、そうだ…君の名前を聞かせてくれるか?無茶をしてまで私を守ってくれたのだからな」
イタズラっぽく微笑みながら言う智代、その笑顔から顔を背けながら応える…俺の名前は──
「悠、三神悠だ…何処にでもいるただの高校生だよ」
自身の名を、告げる──その瞬間Fate(運命)の歯車が回り始める。
音もなく、誰にも気づかれる事なく…だが、確実に──