■...禁

□満月の夜に
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今日は一段と綺麗だ…



満月の夜に



魚人島を目指して航海をしていたある夜の事。
酒を片手に展望室にひとり。

夜の見張りをさぼって、ゾロが月を肴に酒を煽っていた。

「たまには月見も悪くねぇ。」




一方夜のキッチンでは、サンジが黙々と明日の朝食の下ごしらえをしていた。

「そういや、アイツが見張りだったな…」

…サボって酒飲んでやがるんだろう…
キシシと笑い、サンジはフライパンを置き火をかけた。



だぁっくしょい


「やべ、少し撒かした…」
ゾロは思いっきり親父臭いくしゃみを放っていた。




「見張りお疲れさん。夜食持って来てやったぜ!!」

サンジがお手製ピラフとつまみを持って来てくれた。

「おぉ、悪ぃな。」

ゾロは月から目を離さず、返事をした。
そんな態度にカチンときたサンジは、

「あぁ?どこ見て話してんだよ?」

「…月。」

ゾロに言われてサンジも月を見た。

「綺麗だな…」

「あぁ…」

サンジはそのままドカッとゾロの横に座った。

「俺も、月見まぜてくれねぇか?」

そういってゾロの酒瓶をひったくり飲んだ。



それから特に話をする訳でもなく、ひたすら月を見ていた。


「あの時は…」

「あぁ?なんだ?」

ぼそりとゾロが言い、サンジが口を挟む。

「あの時は、月なんざ二度と拝めねぇと覚悟してた。」

あの時とはスリラーバーグでの“暴君”との出来事。
ルフィの痛みと疲労を受けた時の事。

「んな事もう、いいだろ。おめぇはここに居るんだ。」

サンジがゾロに抱きつき耳元で囁いた。

「おめぇが居なくならなくて…あ…んし…んした……」

サンジはギュッと力を込めて抱きしめて、少し滴を落とした。

「あぁ。」

一言ゾロは発して、サンジを力強く抱きしめた。

「俺も今こうしておめぇと一緒にいれて安心してる。」
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