Original

□Love - Love
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「好きです」

「…え?」


部活帰り1人でベンチに座ってたら、男子高校生が隣に座ってきた
2人用のベンチだから、他人が座ってくるなんてめずらしいなぁ

そんなことをぼんやり考えていたら、そう、告白された



「全然知らない人に告白されて困ってる?」ははっと快活に彼は笑う

「でも俺は君のこと知ってるんだ。毎朝同じ電車だからさ」
「…あ!そうなんですか」

こんな人いたっけ?あ、でも見たことあるようなないような…



「あ、自己紹介忘れてた!俺、椙山高校2年の青山龍!」


「………………」あたしは驚いて目を丸くする

「?」
不思議そうにあたしの顔をのぞきこむ彼


「…真山莉奈、桜台高校3年です」

「え?」さっきのあたしの倍くらいは目を丸くしただろう

「あ、えと…と、歳上なんだ…ですね」
慌てどもる様子にあたしは思わず笑みがもれる

「子どもっぽい?」
「ち、違う違う!友達と話すとき、無邪気でかわいいなって思ってたから歳下だと…すんませんでした!」
かわいいなって、そんなはずかしいことをサラッと


「はー俺だせぇ…」
そんなことを1人つぶやいてる


直感でわかった
この人天然だ
そして素直でどストレートにものを言う



「えーと…その…嬉しいんだけどさ。あたしのどこがいいと思ってくれたの?しゃべったこともないのに」

見た目かなーと思ったりする
自分で言うのもなんだけどまあまあかわいい
時々声かけてくる男もいるもんだし

でも彼の答えは予想外だった
「えっと友達に向ける笑顔とか…ちょっとしたことで人におじぎしたり、さりげなく優しい感じが…」

「あと友達想いっすよね!前、浮気した女友達の彼氏を怒ってた!」
「はっいや、盗み聞きじゃないっすよ?聞こえてきたんです。近い位置にいたので…」と慌て付け足す


それだいぶ昔のことだよ?
その頃から好きだったの?
すぐ行動にうつすタイプの人だと思ったんだけど



でも内面が理由なのはけっこう嬉しい
「見た目じゃないんだ?」
あたしは驚きからそう聞いたんだけど、彼はスネてると勘違いしたのだろう

「あ!もちろん見た目も綺麗っすよ!だけど、俺一目惚れとかないと思うんすよねぇ。内面知らないと好きにはなれないと思います」

「だから俺も真山さんのこと最初から好きだったんじゃなくて、こうジワジワと…とにかく今は大好きで、だから告白したんです!」

「……………………」
「あ…な、なんかまずかったですか?」
「こっち見ないで」
「あ、顔紅い!」
「うるさい!」

なにこの人
なんでこんなに感情をストレートにぶつけられるの

あたしとは正反対のタイプ
あたしは思ってることが素直に言えないから


「まぁ友達からなら」
あたしは立ってケータイを取り出す

「それでもちょー嬉しいっす」満面の笑みでそう言う彼は、しっぽを振ってる子犬を連想させた

また思わず笑みがもれる


お互い立ってみると、彼がずいぶん背が高いことに気づいた

肩にかけてる部活のバッグを見て
野球部かな、と思う

ケータイを持つ手もゴツゴツして大きい



これも直感的に思った
あ、この手なんか好きだな
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