Original
□Focus
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「おーす、久しぶり!金沢の土産があるぞ〜〜」笑顔であたしの前にお土産を置く
「ん?どしたくっれぇなー」
「……かわいい女子いた?」
「うん?あーまあまあかな〜」
「そっか…」
「…どうしたんだよ?」心配のこもった声になる
「ゆうくんに振られた」
ははっなんだ、といつものように笑われる
「やっぱなー今日?」
「1ヶ月前」
「!!な、なんですぐ言わねぇんだよ!?」
急に青ざめて焦るまさ
どうしてそんなに慌てるの?
「だってまさ合宿だったじゃん」
「そうだけどよ、電話とか…」
「それはなんか…さすがに申し訳ないっていうか」
「は?なにを今さら」怒りのこもった声
どうして怒ってるの?わからない
「お前、はきださないとダメなタイプだろ?なんかあったらすぐ言えっつってんじゃん!」
だから怒ってるの?
あたしのために?
「あのね……いなくなって気づいたんだけど、いつも失恋したときとか悩みとかまさが聞いてくれてたなぁって。励ましてくれてたなぁって。辛いときいつも……いつも側にいてくれてたなぁって」
涙で目の前が霞む
「当たり前だろ!俺は……!」
どうしてそんなに助けてくれるの
この胸が苦しいのはなんなの
まさがあたしの側にしゃがみ込む
「だから……なんかあったらすぐ俺に言えよ、なんでも聞くから」
「うん……あたしダメだね…まさがいないとやっていけない。まさを…」
ー好きな人って1番失いたくない人じゃない?ー
「失いたくない」
「…………!!」
涙が乾いただけじゃなくて、心が晴れたような
まさに、目の前のぼやけていたものがはっきりしたの
「…ピント合った?」
ピントが合ったあたしの目は優しい顔をしたまさをとらえた
「好きだった、会ったときからずっと」