すばらしきこのせかい
□Golden Candy
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か、狩谷が好きって気づいたのはいいけど…
これからどうしよう
あたし隠し通せないかもしれない
狩谷はあたしの事どう思ってるのかしら
…………ラーメン友達くらいにしか思ってなかったりして
…うっ
そんなネガティブ回路が働いてあたしは悲しくなった
「うーづき」
「きゃあ!」
「なーに、変な顔してんの。シワが増えちゃうヨ?」
ムカッ
人の気もしらないで
「あんたこそ仕事はどうしたのよ」
「もう片付けましタ〜」
「早っ」
「今日もラーメン食べ行ク?」
「そうねーでもまだあんまりお腹減ってないわ」
「あー確かにまだ早いよなぁ」
横目で狩谷を見る
好きだと気づいてから見ているだけでドキドキする
狩谷はお決まりの棒付き飴を取り出して包み紙を開けた
黄色。レモン味かしら
狩谷が頬張ったらカランと心地好い音が響いた
♪〜♪ー♪〜♪
「狩谷のケータイ?」
「おーなんふぁろ」
今口に入れたばっかりの飴を取り出す
「ハイ。あーはいそうです。え?…あーはいわかりましタ。すぐ行きますヨ」
「何だって?」
「早く終わったんなら追加で仕事頼みたいってヨ〜こんなことなら早く終わらすんじゃなかった」
心底しょんぼりする狩谷がかわいくて思わず笑ってしまう
「もうちょっと卯月とここいたかったのに」
ドキッ
そういう嬉しい事をサラっと狩谷は言う
「じゃあ行ってくるワ。終わったら今度こそラーメンな」
と言って再び飴を口に入れた
「あ、虎西さんとこなんでしょ?飴出してきなさいよ、怒られるわよ」
「あー…」
まだ全然舐めてないのに
そんな言葉が聞こえてきそうなくらい名残惜しく飴を見る
「卯月」
むぐっ
何が起こったのか頭で考えるより先に
口の中に甘みが広がってきた
「な、なにふる」
「俺の代わりに舐めといて」
バタン
そう言って笑い、狩谷は行ってしまった
「…………」
あ、飴って人に回すもん?
ジュースとかなら分かるけど
間接キスどころじゃないじゃない!//
意識して顔に熱が集まる
甘い、けど酸っぱい
けどやっぱり甘い
その甘さは彼のなのか飴なのか
あたしは飴を取り出した
その飴は夕日に照らされて黄金色に輝いていた