Zack

□眠り姫
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クリスマス、か…
あぁ…そういや今日は24日だったっけ?
…ちぇ、もっと早く誰か誘って、呑みに行きたかったな…。



チラッと視線を落として、その“誰か”を覗き込む。
丁度良い枕が出来たせいか、幸せそうに眠るカイ。



まー、可愛い寝顔しちゃって…。

自然と綻ぶ顔を覆いながら首を反らすと、ため息を一つ。



二人きりのリフレッシュルームを包む優しい空気。



俺はそれを全身で受け止める様深く息を吸い込むと、隣で眠るカイに視線を移した。

肩に掛かる髪から仄かに香る、コンディショナーの優しい香り。









…これ位、良いよな?



すっかり気を良くした俺は、起こさない様そっと近づくと、その髪に軽く唇を落とした。















「…ザック…ス……」


「なっ、何??!」
ヤッバ…
…起こしちゃったか?



慌てて身を引き、ドキドキしながら次の言葉を待つ。

だが、カイはそんな俺を他所にモゾモゾ身体を擦り寄せると、心臓に近いその場所で落ち着いた。








…ね、寝言??




何だよ…驚かすなよ…





しかしホッとしたのも束の間。
胸を撫で下ろす身体に、熱が帯びていくのを感じた。





…マジ、ヤバいって…
寝言で俺の名前を呼ぶなんて…可愛すぎだろ?




早鐘を打つ心臓。
俺は押し倒したい衝動に駆られ、それを必死に抑え込む。
気を紛らわそうと視線を逸らすが、密着したその身体は胸元で柔らかな吐息を零すと、その都度揺れる髪が頬を掠め、更に俺を追い詰めていった。





…寝込みを襲うなんて卑怯な真似、出来るかよ…



けど、俺の身体は素直なもので、そんな思いとは裏腹に、肩を抱く手に力が入った。



…参ったな


俺は空いた右手で両目を覆うと、ソファーの背に首を凭れた。
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