Zack
□enjoy! my life
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───ダダダダダ…
バァン!!
「アンジール!アンジール!何だよコレ?!!」
「…廊下は走るな。それと部屋に入る前にノックをしろと、何度言ったら分かるんだ」
静かな午後の昼下り、何時もの調子で飛び込んで来たザックスに、ディスクで走らせていたペンを止めると、やれやれとその両指を顎の下で絡ませた。
「それより、これ!昨日出したやつだ!」
バン。とディスクに叩きつけたのは一枚の『報告書』
「ザックス…本気で、これが受理されると思っていたのか?」
ため息と共に、それをザックスの顔に押し付ける。
「何でよ?」
「…『コレル山に行った。敵を全滅させた』…酷いものだな」
「…じゃあ、アンジールだったらどう書くんだよ」
開き直るザックスを横目にそれを手に取ると、然して考える様子も無く口にし始めた。
「…『α日コレル山にウータイ兵が居るとの報告を受け現地に向かう。1400時現地到着。ウータイ兵数名とモンスター殲滅後、その司令源を1630時壊滅。その際、残兵数名を捕獲した。規模が小さな事から本部は他にあると思われる。捕虜としたウータイ兵は同日1820時現在取り調べ中である』…まぁ、これ位は書けて当然だな」
「‥‥マジ?」
「こんな報告書で昇格は、難しいな」
「…今の、もっかい言ってくれない?」
「──自分で考えろ」
「ちぇ…」
アンジールから報告書を引ったくり、肩を落としてドアへと向かうと、不意にそれが開いた。
「総務部調査課のカイです。呼んだ?」
「あぁ、忙しい所悪いな。この書類をツォンに頼む」
「了解〜」
「…こいつだってノックしてない」
「カイは私が呼んだ。お前は突然飛び込んで来ただろう」
「…アンジール?」
書類を受け取ると、突然話の引き合いに出されたカイは、初対面のソルジャーを燻かしげに覗き込んだ。
「あぁ、ソルジャー2ndのザックスだ」
「よろしくな」
手を伸ばすが、黒のスーツに身を包んだ女性は、胸の前で書類を抱えたまま、動く様子は無い。
「ふぅん、貴方が…」
「…何だよ」
「当分1stには成れそうにないわね」
「は?」
「そうだな」
「何だよ、アンジールまで!」
肩を落とすザックスに笑みを洩らすと、アンジールは書類の山から一枚の紙を取り出した。
「──そう言えば、ツォンからモンスターの住み着いた魔晄炉の調査に、ソルジャーを一人、寄越して欲しいと言われてたな」
言いながら顔を上げると、口を尖らせた目の前のソルジャーに眼を向けた。
「…俺?」
「あぁ」
「よっしゃあ!久しぶりの任務だ!」
身体全体で喜びを表すザックス。だが、その様子に慌てたのはカイ。
「ちょ、ちょっと待って!同行してくれるのは1stって聞いてるけど?!」
「…こいつは1st程ではないが、これでいて戦闘能力は2ndでもtop classだ。問題は無いだろう」
「…あたし、まだ死にたくないんですけど」
「おいおい…」