Zack

□Just One's More…
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「…なによ」
「それってヤキモチだろ?」

「ば、ばっかじゃない!?」

不意を突かれ、上擦る声。
悔しそうにプイッとそっぽを向くと、口元を緩ませたザックスの顔がそれを追う。

「お前さ、いつもみたいに俺がむくれると思ったろ?」
「うっさい!!ザックスのあんぽんたん!」

「はいはい」
「…チッ。今に見てろよ…そのうちギャフンと言わせてやるんだから……」

顔を背けると、何やら小声でゴニョゴニョ呟くカイ。

「ん?なんか言った?」
「べっつにぃ?」

ふ〜ん。と小さく鼻を鳴らすザックス。首を捻り、そのまま暫く何か考えている様子だったが、不意にその瞳がキランと輝くと、悪戯っ子の様に口元を引き上げた顔が、ジリジリ二人の距離を詰めて来た。
無意識に引き吊るカイの頬。

「…うっわぁ〜。なんかもんのすごぉ〜っく、ヤな予感…」

一歩後退ると、そこに重心をかけ、逃げる体勢を整える。

「なぁ、さっき俺のも義理って言ったよな?」
「んじゃあ、あたしはこれでッ!!」

しゅたっと片手をあげると、逃走を謀るカイ。
ザックスは素早い動作でそれを阻むと、更にそれを躱わそうと身体を捩るカイの前に立ち憚った。

「おっと…どこ行くのよ?」
「あたしはあんたと違って忙しいんですッ!」

「まだ話の途中でしょ?」
「あたしの話は終わりました!」

「答え、まだ聞いてない」

その言葉に不機嫌さを露に、寄せた皺を更に深く刻み込む。

「あ〜もうッ、うるっさいなぁ!!言ったよ言った、言いましたッ!ザックスのも義理!他のも義理!本命なんてあり得ません!!」

早口でそう捲し立てると、尚も迫る身体を押しやりその脇をすり抜ける。
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