Zack
□Smile&Smile
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「─失礼。貴女、神羅の方でしょ?」
「…そうですが」
「息子に会ったら伝えてくれないかしら?忙しいのも分かるけど、たまには顔を出しなさいって」
心配してくれる身内が居るなんて、幸せな奴だな。
「──分かりました。美味しい林檎を頂いたお礼もしたかったですしね。では、息子さんのお名前を聞かせて下さい。あと、ソルジャーのクラスが分かると助かります」
「お礼だなんてそんな…此方こそお願いします。…それでクラスはね1st。名前は、アン「お〜い!」
誰だ?
このほんわかムードを壊すバカ者は?!
「合流する奴って、カイだったんだ」
ベタな恋人同士がやる「ごめ〜ん、待った〜?」みたいに、手を振りながら駆け寄ってくるザックス。
出たな疫病神!
そんな笑顔で近づいて来るんじゃない!
この前あんたと組んだお陰で、今月二枚目の始末書と、ツォンさんのお説教二時間も喰らったんだぞ!
「どちら様でしたっけ?」
「あ…この前の事、まだ根に持ってる訳ね?」
「──別に」
「何だよ、あん時先に仕掛けて来たのはソッチだろー!」
「何ぃ!どの口がそれを言うんだ?!」
えぇ?!この口か?とそいつの両頬を掴んで、横にグイグイ引っ張ってやる。
「ひへへへへへ…」
「…それ位にしておけ」
「──ツォンさん」
アーチの奥から姿を見せると、ツォンさんは頬を抓るあたしの腕に手を掛けた。
「…話せなくなるのは構わんが、これから任務だ。分かるな?」
引っ張りすぎて詠唱出来なくなると、足手纏いって訳か……ツォンさんのザックスに対する扱いも酷いな。
今回の任務は、現地でツォンさんと合流し、工場の調査に入るという簡単な任務だった筈…なのに、なんでザックスも一緒なんだろ?
「…ミッションに変更があった…この先で説明する」
考えを察してくれたのか、ツォンさんはそう言うと腕に掛けた手を離した。
あたしも頬っぺたから指を離してやる。
「…ツォンさんに助けられたわね」
両頬を真っ赤に染めたザックスは、その場に踞り痛みを堪えている様子だったが「馬鹿力め」等と抜かしやがったので、その頭に手加減無しの空手チョップをお見舞いしてやる。
とお!
「痛ってぇ!」
「…行くぞ」