すべての魔法使いは夢をみる
□それぞれの想い、夕日の記憶
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「…いやあ、最初になかなか幻獣を出さないと思ったら、2体の幻獣を出すために集中力を高めていたなんてな。さすがだよ!」
「そんな…ただ、よくイメージしておかないと、2体とも出すのは難しかったから…」
「いや、そのイメージが重要なんだよ。柳くんは実に基本がよくできている。」
杉本が、感心したように言う。
真理と千原との試合が終わってから、夢二、勇、真理は杉本とともに一限の残った時間を過ごした。
(ツタヲ先生による、今後の授業予定の説明だった。)(夢二は寝ていた。)
「杉本くん、そんなところまで見抜いてたんだね…!」
最初は杉本に対して警戒心を持っていた勇だが、彼の洞察力と熱意に感心し、警戒をといたようだ。
「柳くんほどの実力者が、幻獣を呼び出すのにてこずるなんて、考えられなかったからな。気になっていたんだ。」
3人のやりとりを、夢二は黙って聞いていた。
夢二の様子がおかしいことに、勇が気付く。
「夢二くん?さっきから静かだけど、どうしたの?」
「あ、ああ…何か、腹減りすぎちまったみたいで…」
「ええ!まだ一限目終わったばっかじゃん!朝ごはん抜いてきたの?」
「いや、朝飯は食ったんだけど…妙に腹の辺りが痛くて…」
そう言いつつ、ふと真理と杉本の方を見た夢二の表情から、勇は悟った。
…夢二くん……
それは、お腹が痛いのではなくて、
いわゆる、胸とか心とか、そういうものが痛いのでは…?
(なんなんだろう、隠してるのか、天然なのか…)
「やっぱ朝飯は3回はおかわりしなきゃダメだな!!」
(きっと、天然だ…!!!)