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□向けられる熱視線
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「そこの娘さん、オレと一緒にお祭りをしよう。勿論、祭りの名前は血祭りだポン」
「誰がするか!消えろ変態!!」

存分に嫌悪感を前に出して叫ぶ。
本気で相手にしたくない相手部門第一位。変態部門第一位。話が噛み合わない第一位。仲良くなりたくない部門第一位。そんな相手と誰が一緒にいたいものか!

「ゎー、酷い言われようだ。こういう時はどうするの?答えは簡単、そんな悪い口は利けないようにしてしまうのがよいのです。…というワケであるからして、さあさあ楽しい楽しい殺し合いを始めようじゃないかぁ」
「だから、冗談じゃないって言ってんの!」

本当に冗談じゃない。
やや本気の目で(といっても死んだ魚みたいに気持ち悪い目!)槍を構えだす変態ことハスタに声高に今度は怒鳴りつける。そうすると

「嫌がられると、余計に攻めたくなるオレ」

この変態!

「だ・ま・れ!この殺人鬼!殺すなら外でたむろしてる魔物でも殺してきなさいよ!」

そっちの方が断然世の為人の為。いつもこいつのする事といったら正にその逆ばかり!
善良な市民に手を上げるわ、軍の命令違反して味方を殺すわ、本当に最悪。ついでに凄い迷惑。

「弱い相手を倒しても楽しくないポン。やっぱりここは、キミに相手をして貰うしか他ないワケでして」

奇妙な語尾はつっこむ気すら削がれて白けるワケでして。
…ああ、駄目だ。悪影響。思考の方法が変人と似たようなものになってくるだなんて、なんて絶望的!
今まで何人殺したのか知らないけれど、血を存分に啜って来ただろう白刃が煌めく。
使い手がアレなら、そいつの持ち物も全部アレなものに見えてくる。見ていて気味が悪くなってきた気がするそれを視界から強制排除。

「却下。変態の相手してる程私暇じゃないの」
「んー、また変態と言われたオレ。脳内裁判でキミを告訴しました」
「勿論判決は無罪ね。原告は敗訴、即この場から立ち去れと裁判長からの指示です。さ、行った行った!つか、寧ろ行け!」
「ざーんねーん。オレの脳内裁判だから、裁判長はオレなんだな」
「じゃあ私の脳内裁判での判決、よ!もう、本当に邪魔しないでよね!私これから用事あるんだから!」
「その用事とはー、ズバリオレとの楽しい時間を過ごす事」
「じゃあないわねぇ、喜ばしい事に!チトセと、街で、買い物。断じてあんたと、此処で、殺し合いなんて物騒なものじゃないの!」

ああもう本当、何がどうしてこんな変態殺人鬼にしつこく付け回される事になったんだろう!
自分の不運を嘆くしかない。以前知り合った傭兵を思い出す。リカルドさん、貴方が辟易していた気持が今なら理解出来ます。本当、貴方が仰っていた通りハスタというこの変態、脳天に一発といわず何発でも鉛弾をぶち込みたくなるような奇人っぷり!

「あんたといると気が狂いそうだわ」
「おめでとうー、それはよかったー。きっといい血祭りが出来そうだー」
「……」

安心して欲しい。自分で言うのもなんだが、力は弱くても銃の腕前なら相当だって自負している(じゃなきゃどうやって戦場で生き抜く事が出来るだろう!)きっちりかっちりそのムカつく面の中心に風穴を穿ってやる。
本気で愛銃に手をかけかけたが、それでは変態の思うつぼだと思い直して今は自制。こんな奴の思い通りなんて、いっそ銃口を自分に向けたくなる程の屈辱だわ!

「ゃぁゃぁ、相も変わらずつれない娘さんだなー。オレがこんなに熱く愛を語っているというのにー。いやまったく」

歪んだ愛もあったもんだと鼻で笑う。

「あんたが愛とか言うな薄ら寒い!痛い、痛過ぎるのよあんた何もかもが!」
「ふー…オレはただ、キミと素敵な素敵なお付き合いをしたいだけなのになぁ」

こいつのお付き合いはその手の中の凶器での“お突き合い”の間違いだ。断言してやる。
腰が曲がった奇妙な体制でぶらぶら右手を揺らす。当然同じくぶんぶん揺れる槍先から体を逸らして逃げる。危ないったらありゃしない。当たって血を出して、わざわざ血が大好きな殺人鬼を悦ばせる事なんてしてやる気はさらさらないのだから。
何を想像したか、にやにやと締まりのない不気味な笑いを浮かべる殺人鬼。どことなくうっとりと、恍惚とした顔はどうせろくな事を考えてはいない。
最も、“ろくな事”を普段考えているのかすらどうか。絶対考えてない。こいつは芯から外道だ。
ハスタはうっすら赤味が差した頬を緩めて、至極至福そうにこっちを向いた。気味が悪いったらありゃしない。ああもう、舌舐めずりとかするな!

「キミの綺麗な顔が、絶望で歪んだ様はさぞかし魅力的だろうなぁ。想像するだけでそそられるねぇ」

言ってろ変態。



向けられる熱視線



「ぐちゃぐちゃにしてやりたくなるなぁ」

決めた。絶対いつかこいつの脳天に鉛弾をぶち込んでやる。


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(TOI)
ハスタ。キャラが掴めねェ…!



 

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