その他
□It is a start of summer.
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「つーわけでだ、campやんぞ」
終業式が終わり、明日から夏休みという日である。突然、伊達政宗はいつものメンバーに話しかけた。
「ごめん、竜の旦那。つーわけでの意味が全くわかんないんだけど」
「Ah?夏なんだからcampすんのは当然だろ?」
相変わらず思考回路が人とずれている。猿飛佐助は溜め息をつき、隣にいる幼馴染みの真田幸村へと視線を向けた。……が、少し後悔した。
「きゃんぷ、でござるか!?楽しそうでござるな!!」
「Ha!お前なら分かってくれると思ってたぜ、真田幸村ぁ!!」
嬉しそうに声を上げる政宗に賛成したのは幸村だけでは無かった。
「どうせキャンプすんなら海の近くにすんだろ?いいじゃねぇか!」
「祭りみたいでいいねぇ!!皆で行くんだろう?」
長曾我部元親、前田慶次まで賛成するとなれば、当然キャンプはやることになるだろう。最初から自分には拒否権は無いのだ、と直ぐに諦め話に参加し始めた。
「それで、メンバーは今話に参加した人達だけ?」
「おっと、小十郎を忘れんなよ?何かあったときの保護者役になってもらうからな」
そんな扱いでいいのか。とツッコミを入れそうになったが、元親は窓側で空、もとい日輪を見つめている人物に声をかけた。
「毛利ー!どうせならお前も来いよ!!」
「……フン、何故我が貴様らのくだらん戯れに付き合わなくてはならぬのだ」
漸く視線を日輪から元親へ動かした毛利元就は見下すように言う。それに対し文句を言おうとした元親を宥めた慶次は、元就に笑いかけた。
「まぁまぁ、落ち着きなよ二人とも。元就も、そんなこと言わずに一緒に行かないかい?沢山思い出作れるし」
「そのようなものいらぬ」
「なら……ああ、そうだ。海に沈む夕日ってロマンチックだと思わないかい?オレンジ色が海に染まっていくのが間近で見られるんだよ」
嫌そうに柳眉を寄せていたが、何かを考えるかのような仕草を見せた。そして数秒の後、こう述べた。
「……行ってやらんこともない」
「じゃあ、決まりだね」
佐助の言葉に文句を言う者は誰もいなかった。ただ、「めんどくせぇ奴だな」と言葉を洩らした元親は元就に国語辞典で殴られていたが。
言い出した政宗、保護者役の片倉小十郎、まとめ役の佐助、計画を立てるのが得意な元就が主なメンバーとしてキャンプの計画を立て出した。元就、元親の意見通りに海が近くにあるキャンプ場を予約し、待ちに待った当日。全員がそこに集まったのであった。