それは全ての
□0.7
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接触
「むー……。」
わからない。
参考書を見比べながら応用問題を解いているのだが、一向にページが進まないよ…。
むしろ答えの解説読んでも分からない。
ちくせう。
教科書や参考書が目一杯広がった、もはやレジの役割を果たせそうにない机をみて「あ、やべ。」と思い出した。
この前、店長に注意されたばかりだった。
…まぁ、店内にお客さんが居ることがあまりないのだけれど。
気分転換にレジから店内を眺めてみる。沢山の古本に囲まれた、少々大正ロマン漂う雰囲気の古本屋。
居心地は、悪くない。
つい、2ヶ月前から始めたばかりのバイト先は家から少々離れた場所にあり、かつ大通りから一本外れた通りであまり人が入らない。
なんて素敵な場所なんだろう!
こんな場所、この世界の主役達は絶対に来ないだろうさ!
偶々通りかかりバイト募集のビラを見つけたときは、一生分の運を使い切ったかと思った。
実際に始めてみると、以外とマニアックな本が多くて大学生がちょこちょこ来ることが分かった。
けれど、主役達に大学生は居ないし、レジで勉強は出来るし一石二鳥!
そんなこんなで、只今レジで数Cの問題を解こうと頑張っているのだ。が。
「んー…」
「……いや、」
「…んんー…」
「…!…ゃ、違うな」
あー…分からん!本当に分からん!なんだこr「…これ、こことこっちをこーすると解けるよ」
「へ…?」
ノートに影が浮かんだと同時に声がふってきた。同時進行で、シャーペンで補足のように書かれた字が私のノートに足されていく。
こっ…これは…!
わ か り や す い っ !
なんてこった!
凄い、そーゆうことか!
あ、しかもココ計算ミスしてたのか!ちくせう…
ふんふん、これがこーで……
…………
…………出来たー!「ぶっ…くくっ…」
「………。」
「…くくっ…」
「………。」イラッ
え、何?
こんな問題もわかんないのか、哀れな奴。みたいなこと思ってんの?え、自慢じゃないですけど前世なんて赤点すれすれで生きてましたけど。DEAD OR ALIVEギリギリってかむしろ限りなくDEADよりで生きてましたけどー……
…ってかノートに夢中で人間見てなかった。
「悪い悪い。…ははっ…あんたっ…声、くくっ…ぶつぶつ聞こえてるし…!ははっ」
聞こえてたのか。
…ってか、笑うんなら外出て笑えよ!
「うっさい、買う本ないならさっさと出てけ。」
「…!あれ、それが素なのかなー?あと、この本お願いね。」
「見た目でわかんないの?」
こちとら目つきが悪くて人生の4/3損してんだかんな!1以上だよ、ほんと。
「?なんで?いっつもレジで勉強してるから大人しい子かと思ってたよ。」
「…あ、そー。2640円です。」
「にせ…ん…、あ、ぴったりあるわ。」
こいつたらしだ。
よくよく見てみると、これまたイケメンの部類。
あー、なるほどね。こんな感じで女の子を獲得してるわけですね。ってか流石slmn世界。イケメン率高いよね、ここ。
「…?俺の顔に、なんかついてる?」
「………いえ。たらしっぽい顔してるな、って思っただけです。」
「!…ふはっ」
?なんでいきなり笑い出すんだ…?
むしろ不快な言葉を発したつもりなんだけど。
「やっぱり、面白いな君。俺、地場衛。君は?」
「へー。地場衛さんね。どこぞの変態かm……」
「ん?」
あれ、おかしいな。
今、あるまじき単語が聞こえたような気がする。
「友達にはまもちゃん、って呼ばれるんだ。君もそう呼んでよ月野さん。」
アウト―――――ッ!!!!!
「な、ななななななんで…」
「? あぁ、名前はほら、名札に。」
ななななななななんでここにいんのーっ!?
いや、なんで月野ってばれたのかも不思議だったけれども!!
そうだよね、名札付けてるもんね!!いや、そんなことより!
なんで!?よりによってこんな廃れた店に主役が来てんだよっ!?
大通り行けよ!!大きな本屋あんだろ!?
なんでこんなところに主役が来てんだよーっ!?(大事なことなんで2回言った!)
「ねぇねぇ。下の名前はなんてゆーの?」
「用がないならさっさと帰れ!」
フラグが立たないうちに帰ってくれ!!!
(ガラガラガラ…)
(いらっしゃいませー)
(やぁ、あおいちゃん。)
(!?な、なんで名前…)
(あぁ、店長さんに聞いたよ)
((店長、ぶっ殺す))
(今日は何の勉強してるの?)
(うっさい、さっさと帰れ!)
(あー、物理だね。ここはこの公式だよ。)
(!………ーっ!公式説明したら、帰れよ)
(ふふっ。勿論さ)
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勉強>主人公達と関わらない