それは全ての
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第三話
損な役回りの日
(アニメ64話より)
さっきまで綺麗に晴れていた空に急に真っ黒な雲がかかり、バケツをひっくり返したような雨が降り出したのは30分前。
急いで外に出していた本棚を中に入れて少し湿っていた本の水分を拭き取ったり、バックスペースに入れたり忙しく動いていたのが25分前。
店長がお茶とお菓子をお盆にのせて運んできてくれたのが10分前。
そして。
「酷い雨だから、今日はもう帰りなさい。」
と言われて、大きな傘を右手に店を出たのが1分前。
はぁ…。これさ、ゲリラ豪雨だよね。激しいって最初の1時間くらいだよね、こういうのって…。
はっきり言おう、店の中で待ちたかった。
店の中で待ちたかった!!
大事なことなので2回言いました。
…そうだよね、ゲリラ豪雨なんてこの時代の人は分からないもんね。だからみんなこんな激しい雨の中を急いで帰ろうとするんだよね。
実は生まれ変わってから雷が苦手になった私は、びびりながらも早足で雨の中をひたすら歩いていた。あの大きな音と、周りが真っ白になるほどの光は自分が電車に轢かれたときを思い出してしまうようで…。我ながら女々しいとは思うんだけど、こればっかりは何時までも慣れない。
あぁ、雷なんて滅んでしまえ!
マジで。
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大通りに出て、しばらくたった頃。向かい側を歩いて…走っている見慣れたピンク頭の幼女を見つけてしまった。
傘も差さずに、家とは反対の方向へ走っていくピンク…もといちびうさに、覚えたのは心配ではなく怒りで。
おいおいおい!風邪引きたいのか、あの子どもは!
ってか!あーっ!!
なんで視るんだ。見たらなんとなく気になっちゃって…ほら、これ。っもー!!
心配なんかするか!だって、主要メンバーっぽいし!!どうせ、いい感じに解決すんだろ!やるんだったら姉さんの前でやってよーっ泣
とかなんとか、脳内でやりあったあとになんだかんだで追いかける自分って…。
はぁ。
意外とすばしっこいピンク頭の後を追いかけると、見慣れたビルの入口に入っていった。
…2階がクラウンて。
あー、なんか嫌な予感がビシビシするんですけど。
傘をさしててもこんな土砂降りじゃあんまり意味が無くて、さっさと自分も中に入ろうとしたとき。
「ぷー。あたし。ママのところへ戻りたい」
「泣きごとを言ってはいけません」
聞こえてきた声にビビッて通りから入口をこっそり覗き込んでみると、入口近くに座り込んで猫のおもちゃとお話中な様子で。
「それは確かに時間を行き来できる鍵です。でもむやみに使ったら危険です。」
「危険…?でも、帰りたい!」
あれ、ただのおもちゃじゃなかったのか…。
なんて考えながら濡れるのを我慢でお外で待機ですよ。
えぇ、空気は読めるんです。
「いつか必ず、悪い人たちが滅びて幸せになる時が来ます。それまでの我慢です…。出来ますね?」
「ぷぅ?ぷー!…ぷーっ!!」
本心を聞いてやっと思い出す。
…そっか。
そうか。
主人公とか、主要メンバーとか、そんなん言っても本人達は只の少女なのか。
……そうか。
そうだよね。
死なないなんて本人は知らないし、ましてや絶対ハッピーエンドになることなんて思ってもいないんだ…。
普通の。
普通の、女の子なんだ…
まぁ、だからと言っtゴロゴロゴロッー・・・
バーンッ!!バキッ!
!?
ひっ…!か、雷落ちたーっ!
もう、ホントなんn「いやぁあーっ!!…ふぅっ…えぐっ…」
うえっ!?
か、雷もビビるけど子供の叫び声のが心臓に悪い…っ。って、あ。
私に気づかないまま、泣きながら建物の中に入って行ったよちびうさ。……建物に入ったから、もう大丈夫か。帰ろっかな。
ピカッ―――…!!
……なんか建物の中、めっちゃ光ったけど。私には関係ないし。…嫌な予感めっちゃするし!決めた、帰る!ダッシュで!
「……コ……ドン……ッ…」
上がクラウンだから、誰か居るだろうしっ!
「ドコ……ドンッ…ドンドコ…」
なんか声聞こえるけど、私には関係n
「ドンドコドコドコッ」
―――っ!!
なんか変なのが飛んできたーっ!?
あ゛ーっ、だから言ったのに!言ったのに!!
だ、だだだ誰か居ないか!きょろきょろ
っ、なんっで誰も居ないんだよーっ!?
…ーっもう!!
急いで建物の中に入ると、体が勝手に浮き出して。
なんで無重力!?
くそー。それもこれも全部ピンク頭のせいだ!これ、どうやって進めば……あ、壁蹴ればいいのか。感覚掴むのにちょっと時間かかりそうだぞ、くそ。
なんて。慣れない無重力に苦戦しているうちに太鼓を持った女の人…?かな。が店の中に入って来てしまった。
「ドドドドドーッ、はぁっ!!」
バチバチバチッ
電撃みたいな攻撃を間一髪で避けたピンク頭はびっくりして叫びながら階段のほうへ進んでいく。けれど逃げるので精いっぱいで敵に背を向けてしまっていて。
敵に背を向けるなって教わらなかったのか!なんって世話のやける…っ!!
「ーはぁっ!!」
バチバチバチバチッ
「っ!ばっか、あぶn」
ドンッ!!バチッー
っつー。あっぶない危ない。この私がこんなに巻き込まれてんのに、こいつに怪我とか冗談じゃないわ、まじで。ちょっと強引だったけど、私に突き飛ばされるのと、あの電撃攻撃受けるのじゃこっちのがまだましだろう。感謝しろ、ってピンク頭の方に顔を向けるとびっくりした顔をして固まっていた。
「な、なんでここに!?」
まぁ、急に出てきたらびっくりするけどさ。
…今そんな場合じゃないからね!?
「いーからはやく上にいって!じゃま!!」
「なっ!!わ、分かってるわよ!」
よし。クラウン行けば大丈夫だろう。
…まぁ、無理だと思うけど一様姉さんが来るまで…は持たないか。
「…おーい。太鼓のねえちゃん。なにそれ、レオタード?ちょっと時代が古すぎね?…あれ、この時代では普通なのか?いやいや流行とかの問題じゃないよね、その服のセンス。どうしたの?みんな洗っちゃって着るものなくなっちゃったの?」
「………。」
「…やっぱ日本語通じないか。どーしよ…って、わっ!」
ガシッ ドガッ!!
さっきの倍くらいのスピードで襲ってきた敵に避けきれなかった腕を掴まれてぶん投げられた私は、確かに顔が赤くなった敵の表情を見ていた。
通じてんじゃん!日本語分かるんじゃん!
けれど、そんなことは壁にぶつかった衝撃によって簡単に記憶の彼方へ。
ちょう痛い!超痛い!手首!!なんで手を前に出したかな。あ、条件反射ってやつか。あー痛い。ちくしょー。さっさと来いよ、姉さん。
「ちびうさーっ!!」
と、愚痴を零してたら姉さん登場。さすが。
そのまま中に入ろうとする姉さんに無重力のことを教えてあげようかと思ったけど、もう今日は十分頑張ったからいいか、放置で。
変身した姉さんが2階に上がるのを確認してゆっくり帰路につきました。
あ、作文みたくなっちゃった。
おまけ
敵を倒した後、ちびうさが
「あれ?あおいお姉ちゃんは?」
って言って初めてそこにあおいが居たことを知るみんな。
「え!?あおいちゃんも居たの!?」
ってうさぎがびっくり。
「う、うん…」
きょろきょろと周りをみるちびうさ。
「あー…、あの子面倒ごと嫌いだからね…。」
ってうさぎ。
「!(なにそれ、私が面倒だってこと?)」
ちょっといらっっとしたちびうさ
話についていけないセーラー戦士を代表して美奈子ちゃんがうさぎに聞く。
「あおいちゃんって誰?」
「あれ?見たこと無かったっけ?
私の妹!!すっごく可愛いんだよー!!」
「「「「ええええええーっ!!!???」」」」