それは全ての

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……ちゃ…

……ちゃん…

……ちゃん!

…あおいちゃん!

「あおいちゃん!おっきのじかんですよー
!」









「……っ!!!」








気がつけば、幼稚園の教室のなかで。
びっしょりとかいた寝汗が気持ち悪かった。
ばくばくいう心臓がうるさい。
思わず心臓を握りしめた。





……生きている。





生きて、いる…?









(なんて可愛い双子なのかしら。)
  誰だ。私を抱えているのは。


(あぁ、あおい!貴方の名前はあおいよ。)
  誰だ。私の名前を呼ぶのは。


(ほーら、双子のお姉さんのうさぎよ。)
  なんで、ここは、私はー…?


(あぁ、可愛いわたしの娘。生まれてきてくれてありがとうー…)






あ、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

なんてことだ。
なんてことなんだ!
私はあのとき死んだのだ!電車に轢かれて!

3人の顔と。
誰かの叫び声と。
電車の耳障りな高音が頭から離れない。

私はー。
私は、死んだのだ。
死んだのだ!なのに!なぜ、ここにいるっ!?
ここで!子どもの身体で!なぜ昼寝をしている!?
私は17歳で!高校に通っていて!母親も!父親も!ちゃんと居るのだ!
ここはいったいどこなんだ!?
なぜこんなところに居る!?
どうして!
どうして!
どうして!


「……っふ…うえっ…ぅぇえええええええん!!!!!」

「あらあら、あおいちゃんどうしたの?」












夢から覚めた私は、初めて大声で泣いた。
夢の記憶と、この世界で過ごした3年間の記憶がごっちゃになって声の限りに叫んで泣いた。
電車に轢かれたことが怖くて泣いた。
3人ともう会えないことが悲しくて泣いた。
家族に会えないと悔しくて泣いた。
記憶があるままこの世界で生きなきゃいけないことが苦しくて泣いた。
泣いて泣いて泣いて泣いて。








泣き疲れて、眠った。








(せんせ?あおいちゃ、ないたの?)
(うさぎちゃん。…あおいちゃん、こわい夢を見たみたい。)
(あおいちゃ、うさがいるから、こわくないよ。)

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