小説(リボーン)連載
□文化祭V
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テーブルにはツナとザンザスとツナの母、奈々の3人。
少し異様な光景だった。
「ザンザス君、ツッ君と写真撮ってあげよっか」
「あぁ…いいかもな」
って、あれ?
なんかナチュラルに会話が成立してるけど…。
「か…母さん?」
「なぁにツッ君」
のんびりと奈々は振り返る。
「いや何じゃなくて…何でザンザスの事知ってんの?」
すると奈々は「やぁね〜」とおばさん特有の手つきでツナの肩をパシパシ叩く。
「ザンザス君、今日からしばらくウチで預かるんじゃない」
「あっそうか、今日からウチで……………ってぇええぇえ???!!!」
思わず乗り出す。
「あらぁ?今日ツッ君が学校に行った後、ザンザス君が来てしばらくお世話になりますって。ツッ君のいとこなんでしょ?」
まぁ…間違ってはいないようないるような…。
っていうか母さん…人を信用しすぎ。
「え?!ってか一緒に住むの?!」
家にはランボやイーピンにフゥ太、ビアンキまでいるのに。
「大丈夫よ〜、部屋はツッ君と同じでいいって言ってくれてるし♪」
「は??!!」
さらに衝撃。
あんな狭い部屋にこんな大柄なしかも男と寝食共にしろと?
「それにしてもツッ君、今日はまた一段と可愛いわね〜」
写真撮っちゃおうかしらなどと言って奈々は鞄からデジカメを取り出す。
冗談じゃない。
こんな格好を形に残されるなんて…。
だが奈々は容赦なくバシャバシャ撮ってくる。
そしていつの間にか他の客もカメラを持ち出し、奈々に混じって撮っていた。
こうなればもう喫茶店は撮影場と化していた。
山本や獄寺も女子に囲まれ身動き出来ない状態になり、ツナの元までたどり着けない。
骸も何故か女子に囲まれて撮られている。
まぁ黙っていれば確かにかっこいい部類に入るだろう。
という訳で、今のこの状況を変えられるのはいつの間にか奈々が座っていた席に腰をおろしコーヒーをすすっているリボーンしかいない。
ツナは目で助けを求めるが、気づいてるくせに気づかないふりをされてしまった。
ついに苛立ったザンザス。
ツナを抱え上げ、その場を去ろうとする。
しかもお姫様抱っこ。
遠くの方から「あーってめぇ!!十代目に触るんじゃねぇ!!」「早くボンゴレから離れなさい!!」などと罵声が聞こえてくる。
それらをさらっと無視して人混みをかきわけるザンザス。
どうやらこのまま帰るつもりらしい。
だが今自分はメイド服着用中。
にも関わらず堂々と廊下を歩くザンザス。
「ちょっ…ザンザス!!戻らなきゃ仕事がっ…」
「駄目だ」
「は?何が?」
ちなみにまだお姫様抱っこ。
「これ以上カス共におまえのメイド姿を見せるわけにはいかない」
「………」
そんな事を言っている間にもう校門前。
唯一の救いは、文化祭なので人が大勢いてあまり目立たなかった事だ。
それでも二度見は避けられなかったが。
そして目の前には見るからに高そうな車。
やはり真っ黒。
「乗れ」
「え…でも…」
「戻って他の知らねえカスにヤられるか、車に乗って俺にヤられるか、好きな方を選べ」
「は?!」
何その選択肢。
どっちも嫌なんですけど…などとは口が裂けても言えない。
「……乗ります…」
「よし」
満足そうなザンザス。
答えなど最初からわかっていたのだろう。
――きっと彼には一生勝てない、
そんな気がする。
結局ツナはそのままお持ち帰りされてしまった。
「家に帰して」と言ったら「家とホテル、どっちでヤりたいか好きな方を選べ」と言われてしまい、最終的な結果は変わらないと諦めたのだった。
そして数日後、並盛中ではツナのメイド姿の写真が売られ、それを獄寺と侵入した骸に買い占められ、また女装をせがまれるツナの姿があった。
→後書き