小説(リボーン)連載

□祭〜最強バカップル〜
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並盛中に来た骸とランボ。
 
2人とも浴衣を着ている。
しかも、骸はパイナップル柄の、ランボは牛柄の浴衣を着ている。
どうやら祭に行く途中で着替えたらしい。
 
 
 
「お〜い、骸、ランボ〜っ」
 
そこに、明るい呼び声が。
 
「?」
 
誰だと思って振り返ると、なんだかなんとなく見覚えのある顔が。
 
「あ〜やっぱり。パインと牛の柄が見えたから、この組み合わせはおまえらしかいないと思ったんだ!!」
 
そう言って近づいてきたディーノ。
 
・・・どんな見分け方だ・・・。 
しかも、両柄ともそうそういないだろう。
 
 
 
「全く、いきなり走り出したと思ったら・・・何なの?群れたくないんだけど」
 
不機嫌極まりない声でそう言いながらディーノの後ろから出てきた雲雀。
 
「わりっ、恭弥。ついな・・・」
 
そう言って雲雀に誤る姿は・・・見るからにへタレである。
 
 
 
「ちょっとちょっと、声をかけておいて放置ですか?随分失礼ですね、跳ね馬」
 
腕を組みプンプンと頬を膨らまして怒る骸。
正直キモい。
 
これが恭弥だったら可愛いんだろうな〜と思い雲雀を見たディーノ。考えていることは簡単に読まれ、軽くではあるがトンファーを腹にくらった。
 
 
さらに放置された骸。ますます拗ねた。
 
「もういいですよ、行きましょうランボっ。このバカップルに付き合っていたら身が持ちません。放置プレイも大概にしてほしいですよね!!」
 
どうやら放っておかれた事が相当嫌だったらしい。
ランボを連れて屋台の方へ行ってしまった。
 
 
 
 
「なぁ恭弥・・・俺、何か怒らせるような事したかぁ?」
 
「・・・放っておきなよ。どうせあいつは常人じゃ理解できない領域の変態なんだから」
 
なにやらとても失礼な事を言っている気がするが、そこはそれ、雲雀だから仕方がない。
 
そんな会話をしながら、2人は去っていくパイナポーと牛・・・もとい骸とランボを静かに見送った。
 
 
 
 
 
 
雲雀とディーノと別れて屋台が集まっている校庭へ向かった骸とランボ。
2人の異様な浴衣も、人が沢山いる中ではあまり目立たなかった。しかも今日は浴衣を着ている人が多い。
だがそれでも、パイナポーとアフロの髪型はちょっと二度見したくなる感じだ。
だがそんな周りの目を気にする程常識があるはずもない骸と、よくわかっていないランボは完全に2人の世界に入り祭を楽しんでいた。
 
ちなみに、骸はずっとランボを抱っこしている。きっと、放すと勝手に何処かへ行ってしまうからなのだろう。
 
 
 
「ほらほらランボっ、金魚すくいですよ。やってみますか?それとも僕が取ってあげましょうか?」
 
「ランボさん金魚よりあっちのおっきい飴玉欲しい!!」
 
そう言ってランボが指差す先には―――
 
 
「林檎飴・・・ですか」
 
 
祭には欠かせない林檎飴が売っていた。
すでにそれしか目に映っていないランボの頭を骸は優しく撫でる。
 
「駄目ですよランボ。どうせあれを買ってあげたら舐めるのに夢中になって僕の事をほったらかしにしてしまうんでしょう。、まぁ、必死に飴を舐めている仔牛を見ているのも楽しいんですけどねv」
 
駄目と言われてブ〜っとむくれるランボ。
それすらも可愛いと思ってしまう骸。
 
ぶっちゃけ周囲の人はちょっとひいている。
 
 
 
「ランボ、ちゃんと最後に買ってあげますから、それまでは祭を思いっきり楽しみましょう?」
 
すっかり拗ねてしまったランボに優しく言う骸。
 
「ホントッ?あれ買ってくれる?」
 
「えぇ。我慢出来ますか?」
 
「うん!!ランボさんは我慢の子!!」
 
後で林檎飴をもらえるとわかって喜ぶランボ。
 
 
 
それからはもう・・・バカップル全開な2人だった。
 
うっかりその光景を目撃してしまった黒曜生。いつも骸は学校では恐怖の対象であり知らない者はいない。その彼が今まさに自分の目の前でラブラブオーラを余すところなく発しているのだ。しかも片手でつまめそうな子供相手に。
その黒曜生がその場に彼女を置き一目散に逃げていった事は、当の置き去りにされた彼女しか知らない。
 
 
 
 
祭も終わりが近くなってきた頃。ランボがあまり騒がなくなってきた。どうやら眠くなってきたらしい。
 
「ランボ、そろそろ帰りますか?」
 
「ん〜〜〜っ・・・林檎飴〜!!」
 
どうやら覚えていたらしい。急に元気になった。
 
骸は、最後に林檎飴を買って帰ろうと決めた。どうせこれ以上いてもランボが寝てしまうだけだ。
何故か、不審者でも見たような顔をされながら林檎飴を購入。ここの屋台で1番大きなやつだった。
 
 
「林檎飴〜!!ランボさんひとりで食べるんだもんね〜!!」
 
そう言いながらも、骸が持っている林檎飴を一生懸命舐め始める。
右手にランボ、左手に林檎飴で骸の両手はふさがっていた。
 
 
「ランボ、僕にはわけてくれないんですか?」
 
少しせつなげに尋ねる骸。
 
「ん〜・・・・・・」
 
迷っている。きっと、自分ひとりで全部食べたい欲求と、でも骸にもわけてあげたい思いが交差しているのだろう。
 
「今わけてくれたら、来年の祭ではこれよりもっと大きな林檎飴・・・いえ葡萄飴を作ってあげますよv」
 
「っっっ!!!!」
 
途端にランボの目がキラキラし出す。どうやら大きな葡萄飴を想像しているらしい。よだれまで垂れている。
 
「骸っ、あげるあげるっ」
 
そう言って林檎飴をぐいぐい骸の口に押しつける。
 
「ランボ、わかりましたからっ。・・・一緒に食べましょう?」
 
「うん!!」
 
そうして1つの林檎飴を仲良く舐める2人。
 
周りの痛い視線などなんのその、半径1メートル以上にバカップルオーラを放ちながら家路についたのだった。
 
 
 
 
→後書き
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