小説(リボーン)連載

□お泊まりU
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銭湯から帰ってきた山本、スクアーロ、ベル、マーモン。
ヴァリアーにも一応、夜に寝るという習慣はあるらしい。
仕事の入り具合にもよるが。
 
 
「じゃあベルにマーモン、おやすみっ。また明日な」
 
解散する間際、山本にそう言われ戸惑う2人。
ヴァリアーにはおやすみを言う人などいなかったため、どう返していいかわからなかったのだ。
 
 
「えと……おやす…み?」
 
「………おやすみ……」
 
ベルはつっかえつっかえ、マーモンは恥ずかしそうにそう言うと、足早に各々の部屋へ入ってしまった。
 
 
 
「え〜と……俺、なんか気に触るよーな事言ったかぁ…?」
 
2人の対応を不思議に感じた山本。
スクアーロに聞いてみると、「あれは照れてるだけだぁ」と言われた。
どうして挨拶で照れるのか、結局新たな疑問が生まれただけだった。
 
 
 
 
 
「んじゃ、とりあえず寝るかぁ」
 
「おうっ。スクアーロ、今日はありがとな」
 
「あ"ぁ"。銭湯もなかなか良かったぜぇ」
 
明日から出かける時には一言誰かに言ってから行くようにと教え、スクアーロは自分の部屋へ戻ろうとした。
 
 
「スクアーロ、おやすみっ」
 
後ろからそう言う山本の声が聞こえた。
思わず振り返ると、満面の笑みが見えた。
 
先程の2人以上に照れながら、スクアーロも「あ"ぁ"……おや…す、み…」と、なんともぎこちなく応えたのだった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「え〜っ、じゃあ山本、スクアーロと住んでんの?!」
 
昼休み、いつものように屋上で昼食をとっていた3人。
山本から今の状況を聞き出したツナはかなり驚いていた。
ちなみに無反応のように見えるが、獄寺もかなり驚いている。
 
 
「いや、なんつーか…まぁ、3日間だけ世話になるって感じかな」
 
「へぇ〜」と言って、ツナはまた弁当を食べ始める。
 
昨日銭湯に行った時は、いろんな事がありすぎてゆっくり話は出来なかった。
 
 
 
「でも…気をつけてね山本…」
 
「ん?何がだ?」
 
「いや……うん、たぶんスクアーロの事だから無理矢理はないとは思うんだけど…」
 
心配そうに、そして言いにくそうに言うツナに、山本は首を傾げる。
 
全くわかっていない。
 
 
「けっ、あいつにんな甲斐性があるかよ」
 
そう言う彼は、すでに恋人にいただかれてしまっている。
恋人というのはもちろん、金髪でわがままな王子の事だ。
 
 
「まぁ確かに。でも山本、嫌だったら嫌だってちゃんと言うんだよ?!」
 
言いながらツナもわかっている。
山本の優しさはただ断れないんじゃない、言うべき時にはビシッと言うところが優しく、そして強いのだ。
だからたぶん嫌だったらハッキリそう言うだろうし、相手も無理強いするような人ではない。
………自分の恋人と違って……。
そう、ツナもとっくにいただかれてしまっているのだ。
傲慢である意味1番わがままで、それでも好きな彼に…。
 
 
 
「どしたー?ツナ」
 
山本の呼びかけで、ツナは我に返る。
慌てて何でもないと言い、急いでまた弁当を食べ始めた。
昼休みももう残り少ない。
 
 
 
そしてツナは放課後にもう一度「気をつけてね!!」と忠告し、訳のわかっていない山本は明るく「なんかよくわかんねーけどわかったー」と言って部活に向かったのだった。
 
 
 
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