小説(リボーン)短編

□デート
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こそこそと隠れるように道を歩いている2組。
正確に言うと、前にいる少年をつけていた。
 
片方は中学生くらいの少年2人。
もう片方は銀色の長髪をなびかせている青年と金髪の子供の2人。
言ってしまえば山本と獄寺、スクアーロとベルだ。
 
全く違う方向から同じ人物をつけていた。
だがやはり同じ人物をつけていればその2組は会ってしまうもの。
駅まであと数十メートルという所ではちあわせした。
 
 
 
 
「・・・・・・・・・」
 
 
お互い、顔を見合わせる。
1番に声を発したのは山本だった。
 
 
「よぉ。おまえらもツナの尾行か?」
 
他の3人に比べ、たいして驚いていない様子である。
 
「・・・って事はあんたたちも?」
 
ベルが質問でそう返す。
 
「あぁ。おまえらがここにいるって事は・・・・・・やっぱりそういう事か」
 
「そ。ただ、ボスを尾行するのは生身で宇宙に行くのと同じくらい危険なんでね。こっちをつけてきたってワケ。大体は感づいたし」
 
「へぇ・・・スゲエな。俺、相手まではわかんなかったよ」
 
山本が感心したようにベルを見た。
 
「わかるよ。あんなにいつもと違うボスを見てれば。それに俺、王子だし?」
 
アハハと笑って「そうだな」と応える山本。
 
ついこの間まで敵であった2人がまるで久しぶりに会った友達のように談笑している。
 
その異様な光景に目を丸くしつつ、会話に残された2人は何が何だかわからずお互い顔を見合わせる。
 
 
「・・・おい刀野郎、一体どーなってんだ?あの野球バカ、散々10代目についていくなとか言いながら、俺を連れ出して後をつけてやがるし」
 
「俺もだぁ。ベルの野郎、せっかくの休暇にいきなり俺を引っ張り回しやがって。“ボスの秘密、知りたくない?”なんてほざきやがるから仕方なく来てやったが・・・」
 
山本とベルに驚いておきながら、この2人も普通に会話している。
 
 
「・・・って、ん?おまえら、10代目をつけてたんじゃねーのか?」
 
「いや。なんかベルの奴が、そっちのボスを見張ってれば大丈夫だとかぬかしやがったから」
 
 
「・・・・・・」
 
 
短い沈黙。
獄寺は待て待てというように軽く手を上げる。
 
「今の話から推理すると、10代目とおまえらのボスが今日会うみてーじゃねーか」
 
「・・・だな」
 
スクアーロも頷く。
 
「それって・・・・・・―――」
 
獄寺が何か言いかけた時、山本が小声で「おい」と声をかけた。
 
 
 
「ツナが駅に着いたぜ」
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