小説(リボーン)連載

□お見舞いU
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一方沢田家では、ツナの母である奈々が台所でお粥を作っていた。
 
そしてツナはと言うと―――――添い寝されていた。
しかも男に。
 
 
 
「あ…あのぉ〜……」
 
「何だ」
 
「風邪、移っちゃうよ?ザンザス…」
 
「安心しろ。この俺に風邪ごときが移るか」
 
確かに、この大男相手では風邪の方が逃げていきそうだ。
 
「それに、病んでいる時は人の体温がいいらしい。クソジジイの受け売りだがな」
 
クソジジイとは九代目のことだろう。
というか、ただの風邪であって別に病んではいない。
だが、それを指摘する程ツナは命知らずではなかった。
 
 
「寝ろ。んで、早く良くなれ」
 
ザンザスらしからぬ台詞に内心笑いながらも、ツナは「ありがとう」と言ってザンザスのたくましい胸に顔をうずめた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「…ん……」
 
ツナは目を覚まし、起き上がろうとする。
 
「あ…れ…?」
 
起き上がれない。
熱はだいぶひいてきている。
熱のせいではない。
 
 
「……ザンザス…」
 
確かに、眠る時はザンザスの胸に顔をうずめて寝た。
だが、今はツナの背中にザンザスの腕が回され、それこそ身動き出来ない状態になっていた。
頭の上から規則正しい寝息が聴こえてくる。
 
ザンザスは眠っているらしい。
珍しいこともあるものだ。
もぞもぞと顔を上げてザンザスの寝顔を見ようとする。
だが、動いたためか起こしてしまった。
 
 
 
「…お…おはよ…う?」
 
おはよう、なのだろうか。
 
「あぁ…俺まで寝ちまってたか。熱はどうだ?」
 
「もう大丈夫。」
 
「そうか…」
 
安心したように微笑むザンザス。
滅多に見られない…というか初めて見るザンザスの笑顔だった。
なんだか嬉しくなって、ツナはザンザスを抱きしめ返す。
ツナは無条件に、人の笑顔が好きなのだ。
こっちまで嬉しくなってくる。
だが、ぎゅっと抱きついたため、ザンザスが頬を染めているという寝顔の何倍も珍しいものをツナは見ることは出来なかった。
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