小説(リボーン)連載

□お見舞いU
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「クフフフフ」
 
 
「っ?!」
 
どこからか変な笑い声が聴こえる。
 
というかこれは――……
 
 
「骸!!」
 
窓に片足を引っかけた骸がいた。
不法侵入……。
 
「お久しぶりですボンゴレ十代目。風邪をひかれたと伺ったので、見舞いに来ましたよ」
 
クフフフと笑いながら部屋に入って来る。
ただ、律儀に靴は脱いでくれた。
 
 
「キャビアがなんです。そんなもの、ただ値段が高いだけじゃありませんか。いいですか、見舞いは心です!!さぁボンゴレ、このパイナップルを貴方に…」
 
どうやって風邪をひいたことを知ったのかとか、不法侵入してきた上に失礼だとか、骸に心がどうとかいう話は合わないだとかそういうツッコミはおいておいて、やはり見舞いの品が気になった。
 
「パ…パイナップル…?」
 
骸の手には、見事なパイナップルが。
今ってパイナップルの季節だっけ?と思いながらも何処で作られているのかすら知らないので何とも言えないツナ。
ただ、物凄く立派で美味しそうだった。
 
「えぇ、パイナップルです。僕を想いながら食して下さいね」
 
……自覚あったんだ…パイナポー…。
 
 
 
 
「…それより、そこの大柄男。なんなんですか貴方、さっきからボンゴレにべったりくっついて。離れていただけますか、とても不愉快です」
 
誰もがツッコミ出来なかった事をさらっと言ってのけた骸。
獄寺も山本もやはりそれが気になっていた。
 
 
それまで黙って見ていたザンザスが口を開く。
 
「おまえらと同じ見舞いだ。文句あるか」
 
さらにツナを後ろからギュッと抱き締める。
そのザンザスの行動に、その場にいた獄寺と骸がギャァ――!!と奇声をあげた。
 
「っのやろ!!よくも十代目を…!!」
 
「なんなんですか本当に!!早くボンゴレから離れなさいこのムッツリオヤジ!!」
 
20代に向かってオヤジはないだろう…と思いながらも、ザンザスの今までの行動を思い起こすと否定しきれないツナだった。
 
「おまえらこそ、見舞いに来たっつーんなら静かにしやがれ」
 
最もな意見だ。
 
「っつーか何でおまえが十代目とベッドの上で一緒にいるんだよ?!」
 
これも最もな質問だ。
 
「ごっ獄寺君、これは――……」
 
「添い寝してやってたからだ」
 
ツナが止める間もなく、ザンザスがさらっと真実を述べた。
 
 
 
「「…………」」
 
 
短い沈黙の後、獄寺と骸の顔がみるみる青くなっていく。
 
「添い寝……」
 
「こんな男とボンゴレが……」
 
わなわな震え出す2人。
考えていることは同じだった。
 
っっ羨ましい!!!!
 
心の中は嫉妬とザンザスへの怒りでいっぱいだった。
 
 
 
「とととにかくっ、みんなお見舞いありがとう!!すごく嬉しいよ」
 
焦りながらもニコッと微笑むツナを見て、その場にいる誰もが「可愛い――!!」と心の中で叫んだ。
 
一方ツナは、何とか争いは避けられた事に安堵していた。
 
そしてザンザスから逃れ、こっそりリボーンに耳打ちする。
 
 
「なんでこんなに見舞い客が来るんだよっ。おまえならなんとか出来たはずだろ?!」
 
するとリボーンはフッと笑って一言。
 
 
「甘いな、ツナ」
 
「へ?…何が?」
 
「考えてもみろ。今日の夕飯は山本ん家の寿司に最高級のキャビアに立派なパイナップルだぞ」
 
「ま…まさか…」
 
微熱で赤かったツナの顔が青くなる。
 
「忙しくなるって朝言ったろ。それに、たまには贅沢しねーとな。こんな機会、滅多にねーぞ」
 
リボーンはそう言うと、見舞い品を抱えて部屋を出て行った。
きっと、奈々に夕飯の材料を提供しに行ったのだろう。
っていうかその3つが一気に食卓に並ぶのか……。
 
残されたツナは「人をダシにつかうなよ…」と、せめてそう呟いてみる。
そして、朝からこうなる事を予測していたリボーンをさすがだと改めて思った。
 
 
 
 
 
 
→後書き
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