小説(リボーン)連載

□文化祭(番外編)U
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文化祭。
 
人が群れる場所。
 
騒がしい時間。
 
 
 
「咬み殺したい…」
 
雲雀はボソッと呟いた。
確かに文化祭のためにかなりの資金を提供したのは他ならぬ自分だ。
だが、ウザイものはウザイ。
人の数が半端ない。
屋上から見てもうんざりする。
きっとあの中に入ったら5分と我慢出来ないだろう。
つまり、トンファーに手が伸びてしまうという事だ。
しかも皆羽目を外しすぎ。
 
広場はすでに仮想パーティーのようだった。
男子がセーラー服を着ていたり、女子が学ランを着ていたり、着ぐるみを着ていたり…。
まぁ運営は草壁に任せてあるから問題ないだろう。
 
 
 
雲一つない快晴。
雲雀はそのまま屋上で昼寝を始めた。
もちろん、屋上は立ち入り禁止にしてある。
これで邪魔は入らない……はずだった。
 
 
 
 
 
 
 
「ん……」
 
雲雀は目を開ける。
視界に広がるのは限りなく青に近い水色のみ。
腕時計を見る。
11時半。
2時間近く寝ていたらしい。
そろそろ羽目を外しすぎた問題児が出てくるかもしれない。
仕方ない見回るかと上半身を起こしたところで、ようやく横に目を向けた。
 
 
…誰か寝てる。
 
 
 
というかこの金髪大柄……思い当たる人物は1人しかいない。
何回も戦った事のある赤ん坊の知り合い。
イタリアのなんだかのファミリーのボスらしい。
そいつが何故こんな所に。
しかも熟睡。
何処かに部下はいるのだろうが、これでは暗殺してくれと言っているようなものである。
 
起こしたところでうるさいだけなので、ほっとくことにした。
 
立ち上がり1歩目を踏み出した瞬間、がしっと足首を掴まれた。
 
 
「……タヌキ寝入り?」
 
「まさか。今起きた。おはよー恭弥」
 
そう言っておはようのキスを求めてくるディーノを軽く払って、雲雀はずんずん歩く。
 
「あっ、待てよ恭弥っ」
 
もちろん、ディーノは後を追い掛けた。
 
 
 
 
 
「………」
 
目立っている。
いろんな意味で。
 
同じ並盛中の生徒からは「あの雲雀恭弥が風紀委員以外の人と一緒にいる!!」と思われ、文化祭に来た来客は「何あの黒髪美少年と金髪かっこいい外人!!」と思われ、かなり注目を集めていた。
人の目がウザイ。
普段は周りなど気にしない雲雀だが、ここまで見られるとさすがにそうもいかない。
 
…全てはこのイタリア人のせいだ。
 
当の本人はそんなのお構いなしで興味深そうに店や飾りを見ている。
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