小説(リボーン)連載
□最愛の君へ
2ページ/6ページ
「あっ、スクアーロ!!こっちこっちっ」
ツナはぶんぶん手を振る。
「お"ぉ"」
もちろんお互い私服である。
駅前で待ち合わせをしていた。
ここら辺は店もそれなりにあるので、買い物には最適なのである。
「・・・で、おまえは何がいいと考えてるんだぁ?」
「ん〜・・・普通に腕時計とか・・・服とか・・・?」
と言っても安い物しか買えないが。
「まぁ、そんなもんじゃねーのかぁ?」
「・・・でも、ザンザスはいい時計もいい服ももう持ってるでしょ。そこに俺が買った安物をあげても・・・」
というか大の大人が安物の時計なんてつけられないだろう。
どんどん沈んでいくツナを見て慌てるスクアーロ。
「でもよっ、あいつのことだからおまえから貰えるんだったらホント、どんなもんでも大切にすると思うぜ?」
「だからぁ、それでもなるべくザンザスが欲しい物がいいんだってば!!」
「・・・そ・・・そうでした・・・」
まぁ、端から見たらそれなりに仲が良いと思われるようなやり取りだ。
それを殺気をおびた目で見つめる者が1人・・・。
「あんの野郎〜〜・・・かっ消す!!」
「ちょっ・・・待ってボスッ。ここは堪えてっ」
今にも飛び出しそうなザンザスを、その他ヴァリア―隊員で必死に止める。
「とりあえず様子を見てみましょ♪」
ザンザスを抑えながらも楽しそうなルッス―リア。
事の経緯は昨日・・・―――。
「いいなぁ〜。スクアーロ休みかぁ。どーせ山本武に会いに行くんでしょ?」
廊下でばったり会ったスクアーロに声をかけるベル。
「あ"・・・あ"ぁ"・・・まぁな・・・」
「?」
しどろもどろで応えるスクアーロを不審に思いながらもベルは手を振って別れた。
だがその後、移動中にこれまた偶然山本武と会ったのだ。
「あ、ベルじゃねーか」
「やほっ。ところで野球君、明日はデートだって?いいなぁ〜、俺も隼人に会いてぇ〜」
「デート?・・・いや、俺明日は野球の試合だけど」
「え?スクアーロと会うんじゃないの?」
「んな約束してねーけど。スクアーロが言ってたんか?」
「・・・・・・いや、俺の勘違いみたい。ごめんね野球君〜」
その場は何とかそれで誤魔化した。
だが、あの時のスクアーロの反応といい、今の会話といい、・・・おかしい。
いや、今まで何回か山本武の野球の試合をこっそり見学していたことはあったが、昨日のあの様子は何だか違う気がした。
「何かある・・・。もしかして浮気?」
まさかあのスクアーロに限って・・・いや、わからない。
なかなか進まない関係に嫌気がさしたのかも・・・。
とにもかくにも、これは弱みを握るチャンスだと考えたベル。
1人で探ろうとも思ったが、面白そうなのでみんなに話すことにした。
ルッス―リアはもちろん面白がってやる気満々。
マーモンはベルと同様彼の弱みを握れるかもと興味津々。
レヴィは「下らん」の一言で一蹴。
ザンザスも「カスの私情なんかに興味はねぇ」と言い仕事に戻った。
結局、ベルとルッス―リア、そしてマーモンの3人でスクアーロを尾行してみることにした。
そしてスクアーロがツナと会っているのを確認した瞬間、ルッス―リアが急いでザンザスに報告。
数分としない内にザンザスも尾行チームに加わったのだった。