小説(リボーン)連載
□祭〜恋人判断基準〜
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「おい」
「っ?!」
何か聞き覚えのある声がして振り向いてみれば、振り向いた事を激しく後悔した。
いや、この状況を打破してくれたという点ではありがたいが。
「てんめぇ、何しに来やがった!!」
浴衣の下からダイナマイトを取り出す獄寺君。
・・・どうやって隠し持ってたんだろう。
「・・・ザンザス」
ついそう呟いてしまった。
「あれ?おまえザンザスの事知ってんのか?」
山本にそう言われてハッとした。
そうだ、今自分は女装中・・・。
「何やってんだそんな格好で」
獄寺君を完璧に無視してこちらに話しかけてくるザンザス。
・・・あれ?もしかして俺だってバレてる?
そして俺の髪・・・正確にはウイッグに触れてきた。
「こんな事させるのは・・・奈々か?随分となりきってるじゃねーか」
軽く笑いながら楽しそうだなと言われ、楽しくないよ!!と叫んだ。
だって今まで困った事か怖い目にしかあってない。
ふと横を見ると、そんな俺達のやり取りを見ていてさすがに察したらしい獄寺君と山本が口をパクパクしていた。
「おまっ・・・ツナ?!」
「じゅ・・・十代目・・・?」
あぁ・・・バレちゃった。でもこれで一件落着かな。
「何だてめーら、守護者のくせに気づかなかったのか」
「ザンザスッ」
普通気づかないって!!俺だって鏡の中の自分を見て「誰?」って思ったもん!!
「てかザンザスの場合は超直感があるからでしょっ」
「んなもんなくても気づいてた」
「どうだか」
そう言ってフイと顔を背けると、その視界に膝をついた獄寺君の姿があった。
「すみません十代目!!貴方だとはつゆ知らず・・・!!先程のご無礼の数々、どうかお許し下さい!!」
ちょっと待て、こんな所でそんな事されちゃこっちが困るんですけどっ。
何か俺が悪の首領みたいな感じじゃん。
「とととにかく、顔上げてよ獄寺君。俺もすぐ言わなかったのが悪いんだし・・・」
それでやっと、申し訳なさそうに顔を上げられた。
「しっかしなぁ〜、驚いたぜホント。全然わかんなかったしな」
そう言う山本も浴衣だった。
俺だってどうせなら男物の浴衣を着たかったさ!!
「でも珍しいね、2人が一緒に祭なんて」
嫌がって一緒には来ないと思ってた。主に獄寺君が。
「ツナん家にも寄ったんだぜ。そしたらもう出たっていうからさっきまで探してたんだ」
「そうですよ十代目!!こいつとだって途中で偶然会っただけなんです!!」
「お互い、一緒に回る相手は別にいるしな〜」
「え?別に?」
咄嗟に聞き返したが、すぐにその相手とやらは予想がついた。ていうか彼らしかいないし。
「俺は十代目と共に祭を楽しむんだ!!別に誰かと約束なんかしてねーぞ」
うん、約束なんかしないでいきなり来そうだよ彼は。
冷や汗が流れてるってことは獄寺君、予想はついてるんだ・・・。
「ふえ?!」
考え事をしていたら急に腕を引っ張られた。
犯人はもちろん、わがままで子供っぽい自分の恋人。
「行くぞ」
短くそう言う。
超直感で会話は出来ないけど、何かわかる気がする。
そしてあまりここに留まっているのは良くないと自分の超直感が告げていた。
「じゃあ2人共っ、そのお相手さんと祭楽しんでね」
「おぉ。ツナもな」
「十代目?!」
こんな時は逃げるが勝ち。
ホント、超直感って便利だと思う。
そしてその場を後にした瞬間、後ろの方からこんな会話が聞こえてきた。
「う”お”お”お”い!!待たせたなぁ武ぃ」
「スクアーロ!!いや、俺も今来たトコなのな」
「隼人〜!!浴衣超可愛いvねぇねぇ、俺もこの浴衣似合う?でも武器をしまいにくいんだよね〜」
「離れろこのエセ王子!!」
・・・・・・うん、平和だなぁ。