小説(リボーン)連載

□遊園地\
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「びえぇぇえぇぇえぇぇ〜〜〜っ」
 
子供というのは、不思議なものを怖がるものだ。
 
というのも、現在泣いているのはランボ。
彼を泣かせている原因は、周りに何匹も群がっているリスザル達。
表の看板には“リスザルの楽園”とある。
 
つまりは、リスザルが野放しにされている檻の中へ来たのだ。
 
 
 
これはツナも少し怖かった。
人間慣れしているのか、リスザル達は平気で肩に乗ってくる。
 
「ザザっ…ザンザスぅ……」
 
思わず近くにいたザンザスにしがみつく。
ウサギやネコはある程度平気だが、サルはちょっと苦手だ。
見るだけならいいが…。
 
「怖いのか?」
 
「怖いっていうか……苦手」
 
「しがみついてろ」
 
ザンザスはそう言うと、スタスタと歩き始めた。
内心、ツナから抱きついてきてくれてかなり嬉しいのだが。
 
 
 
 
そこで、思わずつっこみたくなるような台詞が聞こえてきた。
 
「隼人っ、王子あれ食べたい!!」
 
ツナはつっこむ気力がなく、首だけをその声の方へ向ける。
すると、ベルがあるものを指して嬉しそうにしていた。
そのあるものとは……
 
「カピバラ……?」
 
知らずにツナと獄寺の言葉が重なる。
ベルの指の先には、のんびりとあくびをしているカピバラがいた。
 
「テメっ…飼うならともかく、食うって何だ!!」
 
獄寺が吠えた。
基本、動物には優しかったりするのだ。
人間には厳しいが…。
 
「んじゃ、飼育する?」
 
「……おまえ、それ絶対ぇ食う事前提だろ…」
 
 
 
 
ちなみに、ディーノと雲雀はそこには入らなかった。
もちろん、リスザル達が群れているからである。
野放しのリスザル達が危ないと思ったディーノの配慮だ。
 
 
 
 
 
そして歩いて行くと、またしても大きめの小屋が見えた。
ここは小獣舎だ。
つまりは、小さな動物達が沢山いる場所だ。
 
そこには、割と珍しい動物達がいた。
 
 
 
真っ先に飛び込んだのは、ランボを抱いた骸。
 
「ほらほらランボっ、君にピッタリの動物がいますよ!!」
 
「んむ?」
 
飴玉を舐めながらランボは骸の指した方を見る。
 
「何なんだもんねー、これ?」
 
「プレーリードッグですよ。ほら、愛らしくてまるで君みたいでしょう?」
 
「ランボさんと?似てる?」
 
「えぇ。君は可愛い可愛い僕の仔牛だと思っていましたが、こんな所にもいたんですね、君に似た動物が」
 
するとランボは、骸がプレーリードッグを見て笑っているのでてっきりそれが欲しいのだと勘違いしたらしい。
 
「じゃあ、あれ飼う!!」
 
そう言い出したランボに苦笑し、骸は優しく言った。
 
「ダメですよランボ。僕はもう君で手一杯です。全愛情を君に注ぎたいんですよ」
 
「……ふ?」
 
いや、5歳児に言ってもわからないだろう。
それでも2人は微妙にズレている会話を続けながら歩いて行くのだった。
 
 
 
相変わらずな周囲のバカップルにげんなりしていたツナ。
ふと呼ばれて振り返った。
呼んだのはもちろん、ザンザス。
 
「何?」
 
するとザンザスはすっと腕を上げてある一点を指さした。
……これは嫌な予感がする…今までの流れからいくと…。
 
ツナのその予感は的中し、ザンザスは真顔で言った。
 
「…おい綱吉、おまえがいるぞ」
 
「は?」
 
その方向を見れば、小さな可愛らしいフェネックがいた。
フェネックとは、大きな耳をして目がクリクリした小さな犬だ。
説明を見れば、イヌ科で最も小さいとか書いてある。
 
「…やっぱり小動物……」
 
しかも最小…。
確かに可愛い。
フェネックは可愛いが、それが何故自分と似ているのだろう。
 
そんなツナの考えを察したのか、ザンザスは自信満々に言ってのけた。
 
「似てるだろ、可愛いトコとか」
 
「っっ……」
 
え?素なの?これ素なの?とツナはつっこみたかったが、墓穴を掘りそうなのでやめた。
どうせ本気だろう。
それから嬉しそうにフェネックとの共通点について語られるのだった。
 
 
 
 
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