小説(リボーン)短編

□甘えたい年頃
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「隼人…?」
 
「テメッ…何だぁ?いきなり尻打ったぞ?!」
 
「あ……あー……ごめん」
 
「……で、何で外に……………って、微かに覚えてる、俺…」
 
獄寺は苦そうな表情で頭を抱える。
記憶が追加されたのか思い出したのかはわからないが。
 
 
ベルは苦笑すると、突然「あーっ」と声を上げた。
 
「隼人に王冠乗せたままだった…」
 
つまり王冠は10年前へ。
 
「あーあ…」
 
まぁ、替わりを用意すればいいだけの話だが。
そんなベルの様子を見て、獄寺は言いにくそうに頭をかいた。
 
「わ…悪いな……その王冠、城を出た時に置いてっちまったんだ…」
 
「え?」
 
「頭に血が上ってほとんど手ぶらで出てったし…」
 
「じゃあ隼人、それまで持っててくれたの?」
 
「っ!べっ……別に…そん時ぁ王冠がちょっと珍しかったんだよっ」
 
「そっかそっかぁ〜」
 
しししっと笑うベルに、「あ、おまえ信じてないな?!」と食いつく獄寺。
ベルは嬉しそうに王冠をつけていた幼い彼を思い出す。
…まぁ、それなら王冠も本望だろう。
 
 
 
「そういえば隼人、向こうはどうだった?」
 
「あ?あー…城の庭に1人でいたな。大方姉貴のポイズンクッキングから逃げ回ってたんだろ」
 
「じゃあバズーカは…」
 
「あぁ、近くに黒服の奴がいたからボコボコにしてからはかせた」
 
「やっぱり試作品?」
 
「らしいな。だから時間の調整が出来ないらしい」
 
「家族には会ってないの?」
 
「今更……説明も面倒だしな」
 
獄寺は「それより」とベルを睨む。
 
「あ…あのチビは俺であって俺じゃねーからな!勘違いすんなよ?!」
 
「しししっ、可愛かったなぁ〜隼人」
 
「ぎゃあーっ!!あれは俺じゃねぇ!」
 
「照れない照れない〜」
 
「忘れろ!じゃなきゃ果たして記憶飛ばしてやる!」
 
「ヤだよー、王子お腹空いたし〜」
 
「なっ、コラ待て!」
 
 
だけど、その日獄寺が作った夕飯はちょっと豪華なのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
10年前。
 
ビアンキが裏庭で遊んでいる弟を見つけた。
 
 
「隼人?みんな待ってるのよ?」
 
「おねーちゃん」
 
「……あら?どうしたの?その王冠」
 
「貰ったの!ねぇ、これつけて弾いてもいい?」
 
「……仕方ないわね。でも、私の料理も食べるのよ?」
 
 
毒々しい料理を見せられ、一目散に逃げる哀れな4歳児なのだった。
 
 
 
 
 
→後書き
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