短編小説置き場(その他)

□関係が変わった日
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悟飯とピッコロはこっそりバルコニーへと出る。
 
見上げれば、満天の星が瞬いていた。
 
 
「綺麗ですね…」
 
「あぁ」
 
中では、宴会のような賑やかさになっている。
それを見て、悟飯は苦笑した。
 
「やっぱり、みんなに認めてもらえると嬉しいですよね」
 
「あれは認めてもらえたのか…?」
 
「パーティーを開いてくれたんです、そういう事ですよ」
 
1番手強いと思っていたチチも、あっさり受け入れてくれた。
悟飯が以前からピッコロの事を好きだったのは気付いていたらしい。
さすが母親だ。
 
 
 
「ピッコロさん、寒くないですか?」
 
「いや、問題ない。おまえは寒いのか?」
 
「いいえ、なんだか胸がいっぱいで…」
 
エヘヘと照れたように笑う悟飯。
 
それから、向き合ったピッコロの手をそっと握った。
 
 
「ピッコロさん、これからもずっと、よろしくお願いします」
 
「あぁ」
 
「大好きです」
 
「あ……あぁ」
 
「ピッコロさんは?」
 
「っ……」
 
一歩下がろうとするが、両手を握られて逃げられなかった。
 
「ピッコロさん」
 
「…………」
 
そういえば、あの時も悟飯から「好き」とは言われたが、自分から言った事はなかった。
 
 
「ごっ…悟飯!」
 
「はいっ」
 
「す………………」
 
「………………」
 
「……すっ、す………」
 
あと一文字言えばいい。
だがその一文字が難しい。
 
なんとか「き」とピッコロが言おうとした時、ふと視線を感じた。
 
「きっ貴様ら!!」
 
いつの間にか、会場で騒いでいたみんなが中からこちらをじーっと見ていた。
 
「ぬっ盗み見とは…ふざけやがって!散れっ!」
 
「あっ……」
 
怒って会場内に戻ってしまったピッコロ。
 
悟飯は少し寂しそうにそれを見送るが、すぐにため息をつき苦笑した。
 
 
「まっ、それはまた今度…かな」
 
そう呟くと、愛しい恋人の元へ向かうのだった。
 
 
 
 
 
→後書き
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