気まぐれ小話2

□取り合い
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「ボ〜ス〜」
 
そう呼ばれて、もしかしてと思って振り返った瞬間、ガバッと抱きしめられた。
 
「クっクローム?!」
 
眼帯をした可愛らしい女の子。
こんな容姿でも戦闘はメチャクチャ強い。
彼女の命の恩人である骸には負けるにしても、やはりその辺の女の子ではない。
 
 
「ボス…会いたかった…」
 
3日前に会ったばかりだが、そう言ってくれるのはすごく嬉しい。
 
だが、今はさすがにまずかった。
たまたまこの人と一緒にいたのだから…。
 
 
「おい、人のモンに手ぇだしてんじゃねー」
 
ある意味こっちもボスなザンザス。
すごーく不機嫌そう。
クロームを睨みつけまくっている。
 
「ザンザスっ、相手は女の子だからっ」
 
「関係ねぇ」
 
ヤバい、怒ってる…。
クロームもクロームで、応対する気満々だ。
 
 
「だれが貴方のモノですって?ボスはみんなのモノよ。そして時々私のモノ」
 
「っ??!!」
 
何その理屈?!
 
「ハッ、女だからって優位に立てると思うなよ。まだ頬にしかキスした事ない奴が。俺は――…」
 
「わあぁぁぁ〜〜〜っ!!!!ちょっとストップ!!それ以上言わないで!!」
 
そう言う俺は一生懸命なのに、何故か2人はこっちを見て赤くなってる。
 
ザンザスは満足したのか、余裕の笑みを浮かべていた。
 
一方のクロームはなんだか悔しそうだ。
 
 
とにかく、こんな町中での乱闘は避けたい。
 
「クローム、来てくれて嬉しいけど、今はザンザスと買い物の途中なんだ。また今度、ゆっくり話そう?」
 
ダメかな?と少しかがんで覗き込むと、クロームはあっさり了解してくれた。
 
 
「じゃあボス、また今度。そこのわがまま男、ボスに何かしたら許さないから」
 
ザンザスが何か言い返しそうになるのを必死で止め、どうやら危機は回避出来た。
 
 
クロームが見えなくなった頃、やっとザンザスが口を開ける。
 
「あいつをかばうのか」
 
「違うって。こんなトコで乱闘はまずいだろ?それに相手は女の子だし…」
 
「そんなに女がいいのか」
 
「ちーがーくーてーっ」
 
俺はちょっとイラッときた。
 
 
「俺はザンザスが好きなの!!疑うなんてヒド……………あ…」
 
思わず叫んでしまった。
が、ここは町中。
しかも本人目の前にして……。
 
 
 
見上げると、してやったというような顔をされた。
 
 
俺は、してやられたという顔をするしかなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
〜後書きみたいな〜
最近、クロームが愛しい。
なのにザンツナオチ。
結局甘々。
2007.11.15

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