小説(リボーン)連載

□温泉旅行2
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温泉といえば温泉旅館。
もちろんぬかりのないリボーンは、きちんと予約をしていた。
……2部屋を。
 
「2部屋!?」
 
ツナの驚きは他の者達にも納得出来た。
これだけの人数がいて2部屋、それはさすがにないだろう。
部屋でだけは恋人と2人きりだと思っていた者は肩を落とす。
 
「でもさー、2部屋ってどう分けんだ?」
 
何事にも順応出来る男、山本武。
ツナは改めて、彼の懐の深さを知った気がした。
 
 
「部屋割りはもう決めてある。文句のある奴は蜂の巣になる覚悟で俺に抗議しろ」
 
リボーンが脅しという名の妥協案を出す。
もちろん、最強の赤ん坊アルコバレーノに逆らう者はいない。
 
渡された部屋割りの紙を見て、一同は奇声を上げた。
 
 
 
攻の間。
リボーン、ディーノ、骸、ザンザス、スクアーロ、ベル、ルッスーリア。
 
受の間。
ツナ、獄寺、山本、雲雀、ランボ、了平、マーモン。
 
 
 
「言っとくが、夜に外で逢引きすんじゃねーぞ」
 
リボーンの一言で、最後の望みも消え失せるのであった。
 
 
 
 
 
 
 
それぞれの部屋に荷物を置き、受の間はとりあえずくつろいでいた。
 
「あ〜やっぱり、リボーンが選んだだけあっていいトコだねー」
 
「さすがリボーンさん!!」
 
頼んでないが勝手に肩揉みを始めた獄寺を好きにさせておくことにしたツナ。
窓からの良い景色を堪能する。
 
 
「明日は極限に山登り修行だな!!」
 
どうやら了平のリュックの中はほとんどが修行道具のようだ。
タオルやテーピング道具、さらにはダンベルやらハイキング道具まで入っている。
着替えは…?とツッこみそうになってツナはやめた。
どうせルッスーリアあたりが持って来ているのだろう。
 
 
「ツーナー、ランボさんつまんないー」
 
「うっせアホ牛!10代目は今休息中だ!」
 
こんないつものやり取りも、最近では軽くスルー出来るようになってきたツナ。
慣れとは怖いものであり、また便利なものである。
 
 
「…………咬み殺し……たい…っ!」
 
雲雀はトンファーを構えながらフルフルと震える。
しかし暴れる事はない。
その理由をツナは知っていた。
 
先程、ツナがリボーンに耳打ちしたのだ。
「雲雀さんがあんなに群れにいたら暴れちゃうよっ」と。
しかしリボーンはとても良い顔で言ってのけた。
「大丈夫だぞ、雲雀はぜってー暴れねぇ。約束したからな」と。
どんな約束かは定かではないが、おそらく雲雀にとっては群れを咬み殺すのを我慢する程に価値のある事なのだろう。
ついでに、勝手に消える事もない。
どうやらそれも約束の内のようだ。
 
 
 
「お?これ浴衣じゃね?」
 
室内を探検していた山本が浴衣を発見する。
 
「しかもランボ、おまえのもあるぞー」
 
子供用の浴衣を山本が掲げる。
するとランボが嬉しそうに「これランボさんの!」と飛びついた。
 
ツナは7枚の浴衣を1枚1枚確認する。
子供用1枚、普通サイズが5枚、それに……
 
「赤ちゃん用…?」
 
子供用よりさらに小さい浴衣が1枚あった。
 
「赤ん坊じゃないよ!!」
 
突然パッと現れたのは、先程まで姿を隠していたマーモンだった。
 
「うわ、ビックリしたぁ。マーモン、やっと出てきたね」
 
「やっぱり気づいてたんだ、さすがだね綱吉」
 
先程の小さすぎる浴衣はマーモン用のようだ。
さすがリボーン、抜かりはない。
 
 
 
「そういえば温泉旅行だったね」
 
お気に入りのマーモンをゲットしたツナは、ご機嫌で言う。
せっかく来たのだから、今までと今日のこの疲れを温泉で癒したい。
 
実は今の時刻は午後4時。
昼前に並盛を出てバスで数時間、やっと着いたのだ。
もちろん、バスの中はほとんどがラブラブオーラで溢れていたのだが。
 
そして不思議な事に、攻の間の誰もこの部屋を訪れて来ないという事だ。
おそらくはリボーンが何らかの方法で止めているのだろうが…。
 
 
「温泉行こーぜ、みんな!」
 
山本の爽やかな笑顔を合図に、支度を始める受の間であった。
 
 
 
 

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