小説(リボーン)連載
□温泉旅行3
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一方で攻の間の様子はというと、やはりこの部屋はリボーンが仕切っていた。
「う"お"お"ぉい!武の元へ行くなとはどぉいう事だぁ!?」
スクアーロがバンッ!とテーブルを叩く。
「そのままだぞ。その為のこの部屋割りだ」
ズズ…と日本茶を飲みながらくつろぐリボーン。
それにスクアーロは「訳わかんねーぞぉ!?」と吠える。
他の者達も、受の間に行きたい思いは同じだった。
リボーンはふいに部屋のテレビをつける。
テレビの周りには細かいコードやら機械が繋がっていた。
「とりあえずおまえら、これを見ろ」
その声と同時にテレビに映ったのは、なんと受の間の映像だった。
『っんのアホ牛!10代目が迷惑してんじゃねーか!』
『ふ〜んだ、アホ寺のば〜か!』
鮮明な映像に良く聴こえる音。
「これは……」
「いやぁっ、了ちゃんを盗撮なんて……刺激的っ!」
「テメーは黙ってろオカマぁ!」
クネクネするルッスーリアの横で青ざめるスクアーロ。
恋人を盗撮など…裏切ったような気分になる。
しかしリボーンは堂々と「俺がルールだ」と言ってのけた。
「考えてもみろスクアーロ、それにおまえら。普段相手がどう思ってんのか、知りたくねーか?」
「それは…」
「もしかしたらあいつらの本音が出てくるかもしれねーぞ」
「う"っ……」
確かにそれは気になる。
スクアーロは悩んでいたが、他の者達がとっくにテレビの画面に群がっているのを見て、腹をくくるのであった。
受の間の様子は、それはそれは微笑ましいものだった。
獄寺がツナを気遣いながらも、はしゃいで騒ぐランボと喧嘩し、雲雀は群れを咬み殺したいのを必死で抑え込んでいる。
了平は修行だ修行だと喜び、マーモンは姿を現したかと思えばツナに捕獲される始末。
山本はそれらの光景を深く広い懐で眺めていた。
「隼人………可愛い!!」
ベルが身を乗り出す。
おそらくこの中で1番せわしないであろう獄寺は、さすがとでも言うべきか、嵐のように動き回っていた。
「僕の仔牛があんなところに…っ!……あ、また殴って!!許しませんよ…よくも僕のランボを……!!」
ランボがはしゃぐ度に頬を緩ませ、叩かれる度に眉をしかめる骸。
画面の向こうで騒ぎまくっているランボと同じくらい忙しそうだ。
「了ちゃん、やっぱり修行したいのね………素敵っ!!」
了平の男前さに頬を染めるルッスーリア。
確かに、受の間の中で彼は誰よりも男らしかった。
「綱吉……大変そうだな…」
おそらくあの中で1番の常識人であるツナを見て思わずそう漏らすザンザス。
だが、ツナに抱きしめられるマーモンを見て形相が変わった。
「マーモン…あいつ………!!」
本人は捕獲されて「ムギャァァ」とか悲鳴を上げているのだが、そんな事は関係ない……というか、ザンザスには見えていなかった。
「武ぃ……何でおまえはそう可愛くてカッコイイんだ…!!」
可愛いのに誰より懐が深くて誰よりその場に順応出来る山本を見て、スクアーロは思わずそう叫ぶ。
そして、恋人の眩しい笑顔に鼻血を噴くのであった。
「……どうして恭弥はリボーンの言う事だけは聞くんかなー…」
自分も結構強い部類に入ると思うのだが……と、ディーノは首をひねる。
これだけ群れがいてうるさい中、あの雲雀が我慢している事は奇跡に近いものである。
「マーモン……俺の前ではずっと隠れていやがって…」
姿を現したマーモンを画面越しに睨みつけるリボーン。
まぁしかし、これで役者は揃った。
受の間がどうやら温泉に行くらしく、攻の間も慌てて準備を始める。
そんな中、ディーノが不満そうに言った。
「なぁリボーン、これでホントに本音がわかんのか?何かそーゆー話とかしてねーけど…」
ぶっちゃけ、恋人の話どころか攻の間の誰の話も出てこない。
しかしリボーンは得意気に口の端を上げる。
それは誰が見ても、とてもいい顔だった。
「安心しろ。夜には恋愛について話すよう課題を出してるからな」
楽しみだろう?と続けるリボーンに、思わず手を合わせて拝みたくなる攻の間の男達なのであった。
2010.03.24